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真稀的短編小説

雪道

作者: 矢枝真稀

町いっぱいに積もった雪は、一面を白銀の世界に変えていた。



「うわっ、さぶっ!!」



外に出ると、息は真っ白!吹き付ける風は、肌を刺す程に冷たい・・・。



「お母さん、行ってきます!!」

「いってらっしゃい!外は凍ってるから、転ばないように気をつけるのよ!」

「分かってるって!も〜・・・私も子供じゃないんだから・・・」



もう高校生だよ!と一言添えて、私は学校へと足を向けた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「う〜・・・寒い〜・・・」



コートにマフラーに手袋で、完全防寒してるのに、冷たさはちょっとした服の隙間から入り込んで来る。



「カイロ持って来ればよかった・・・」

「よぉっ!何やってんの?」



げっ!?一宮いちみや!!



「・・・あからさまに嫌な顔すんなよ」

「べ、別に嫌な顔なんかしてないよ!!」



一宮冬真とうま。学校ではお調子者で有名なヤツ。コイツのテンションが、私は苦手だ。



「い〜や、嫌な顔してる!なんだ?俺、お前になんかしたか?」

「あんたのテンションが嫌いなんだよっ!・・・アッ!」



ドテ!



「・・・・・・プフッ」

「わ、笑うなーっ!!」



コイツの顔なんか見たくなくて、私は早足でその場を離れようとして・・・こけた。



「ほら・・・」

「・・・なによ」

「手、いつまでしゃがんでんだ?風邪ひくぞ!」



そう言って、私の手をグイッと引っ張って立ち上がらせる一宮。あ、意外と力あるんだ・・・



「・・・ありがと」

「へぇ・・・高坂がお礼言うなんて、明日は台風か?」

「私だって礼くらい言うわよ・・・・・・クシュン!!」



さ、寒い!!溶けた雪とかが入り込んで、体が冷たい・・・!!



「なんだ、寒いの?」

「・・・だって・・・」

「ほら、やるよ!」



ごそごそとポケットから取り出したものは、カイロだ。



「まだ暖かいし、学校まではもつだろう!・・・新品じゃなくて悪いけど・・・」

「えっ、でも一宮は?寒いよ?」

「走ればいいさ!俺、陸上部だぜ。んじゃお先に!!」



声をかけるヒマもなく、一宮は颯爽と雪道を駆けて行く。

普段はお調子者で、いっつも周りを困らせる一宮が、今日はカッコイイ・・・それに、イメージだけで苦手意識を持ってた私だけど、今は少しだけ、見直してる。



「・・・あ、あったかい・・・」



ポケットに入れたカイロは、温かくて、心まで温かくしてくれそうだ・・・



「あ、やばっ!!」



遠くで、始業前の予鈴が鳴っている。私も、雪道を駆け出した・・・

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― 新着の感想 ―
[良い点]  可愛いお話ですね。思わず、頬を染める高坂さんの真っ赤なホッペを想像しちゃいます。「べ、別に照れてる訳じゃないのよ! 雪で寒かったからよ!」なんて言い訳しながらね? [気になる点]  悪い…
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