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第4話 闘技場で無双!?

 ヘルミーネは未だに自分の戦闘能力での立ち位置が分からなかった。

 私は一応杖の力を使えば強い。だからといって、自分の戦闘能力を理解もせずにむやみにクエストをこなすのは危険だ。実戦では何が起きるかわからない。この杖のことだってまだ十分に分かっていなし、まず、落ち着いて力試しとしよう。

 彼女は闘技場で試合経験を積むことにした。


 ヘルミーネは闘技場で競技者として申し込む。魔法訓練所の初心者講座卒業者は闘技場で競技者として参加できる。

 卒業証明書を提出した。

「はい、卒業を確認しました。ギルドの冒険者ランクはEランクですね。では、最低クラスのブロンズリーグからの参加になります。勝ち進めば、シルバーリーグ、ゴールドリーグ、一番上のプラチナリーグと進めますよ。一つのリーグにつき一日最大5戦します。リーグ昇格はポイント制ですが、5連勝すると上のリーグに進めますよ」

「私は魔法自体まだ慣れないもので、当分かかるかもしれないです」

「お一人ですし、こつこつやってみて下さい。念の為言うと、負け無しで連勝を続ければ4日でプラチナを制覇できます。召喚魔法の使用や使い魔の戦闘参加は失格になりますよ」

「分かりました。私には縁のない話です」


 ブロンズリーグが開始された。ヘルミーネの相手はCランク冒険者の3人パーティーだ。

 試合開始直後、動き出しのタイミングで遅れた。相手の戦士が真っ先に迫ってきて、直後に魔法使いが配置されている。良い形で先手を取られた。更に、魔法使いの痺れ魔法を思い切り浴びる。しかし、何ともない。相手の魔法使いはもう一発催眠魔法を浴びせてくる。やはり、効かない。相手パーティーが直線上に並んで攻め込んでくるところを強烈な魔法で撃破した!その名もアビスブラスター! 暗闇から放たれる一条の極太ビームが 圧倒的な威力を出す直線的な攻撃だ。

 会場が絶叫する!あちこちで悲鳴が起こった。

相手パーティーは全員2階客席まで飛ばされる。ヘルミーネとしては、相手の攻撃タイミングを遅らせる程度の軽い魔力でカウンターを出しただけだった。

 初戦を勝つ!

 意外に簡単だったな。この調子でいいんだろうか?

今日はこれを含めて5戦組まれていた。しかし、後の4パーティーが出場を辞退する。

「他の方々が出場を辞退されました。あなたは不戦勝です。この後のシルバーリーグに参加できますが」

「はい、参加します。」

シルバーリーグの相手も全員、ヘルミーネが繰り上がりしてくるのを聞くと出場辞退をした。不戦で5連勝だ。

 会場からはこんな声が聞こえる。

「あの魔法使いおかしいよ!状態異常が全く効かない。攻撃魔法も強すぎる!プラチナリーグとか冒険者ランクAとかそんなレベルだ!」

 状態異常が効かないのはヘルミーネ自身も驚いている。心当たりとしては、魔王の杖の力か魔王から何らかの特性を与えられたかだ。

さっき私は、状態異常効果の魔法を思い切り浴びた。普通ならほぼ負け。でも、平気だったな。なぜだろう?

 会場側が協議した結果、ヘルミーネはゴールドリーグに参加することが決まる。

 ゴールドリーグの第1試合が開始になった。対戦するのは全員Bランクの4人パーティーだ。相手達は、ヘルミーネの動き出しが遅いのは余裕を持って狙いを定めているからだと勘違いしていた。実際のところ彼女は、試合開始直後に何をやったら良いか分からず考えている。

 よし、さっきの試合は、相手が向かってくるところを攻撃して勝ったから、今度は先に攻めよう!

 慎重に様子を見ながら迫ってくる相手に対して、杖を振りかざす。

 繰り出した技は、カースカタリストだ。

黒い霧が相手を包み込み、体力や気力を削る魔法で、 持続ダメージがある。

 相手たちはその場に倒れ始めた。様子を見た審判がすぐに試合を中止してヘルミーネの勝ちを宣言する。

 今回も一回魔法使っただけで勝ち。どこまで行けるかな?さすがにこの調子では進めないよね!?

 観客達は驚愕する。

「あんな冒険者いたらとっくに知られてるはずだぞ! なぜ誰も知らないんだろう? Eランクって最低ランクだけど、なんかの間違いだよね?」

 

 試合後、闘技場の判断で、ヘルミーネはプラチナリーグ編入を勧められた。

「はい、編入させて下さい。すぐにでも試合はできます!」

「分かりました。では、この後、プラチナリーグ第1試合に参加してください。一日でプラチナリーグに上がったのはあなたが史上初です。優勝したら驚異的な快挙ですよ!」

 

 プラチナリーグの試合が開始される。

 相手は全員Aランク冒険者で4人組のパーティーだ。ヘルミーネが序盤は積極的に動かないのを見ているし、むやみに攻め込んだらカウンターを食らうのも分かっている。まず、剣士がおとりで攻めてくる。ヘルミーネは考えているすきを突かれ、反応が遅れた。杖で剣士の突き技を振り払おうとした瞬間、杖に気を取られる。その隙に相手の魔法使いが本命の攻撃魔法を放った。ドゴーン!ヘルミーネは直撃を食らう。しかし、相手の魔法使いが吹っ飛んだ!何が起こったのか?

 魔法反射だ。ヘルミーネは相手の攻撃魔法を食らったかに見えて魔法を反射して反撃した。

 私はこんなスキル持ってない!!

 驚いたヘルミーネは杖を落としてしまった。そこへ戦士が斧を振ってくる。ヘルミーネは、魔族の森でモンスターを召喚した時のことを思い出す。

「なんか出てきて助けて!!」


 突然、ヘルミーネの前に大きな狼のモンスターが出てきて、戦士を払って飛ばした。

 モンスターが彼女に語りかける。

「ご主人様、お呼びですか?もっと魔王様の加護を活かしてください」

 

 審判が告げる。

「召喚魔法の使用によりあなたを失格にします!」

 ヘルミーネの快進撃が止まった。

 

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