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第1話 低ランク冒険者は正体不明の杖で最強になる

ゴミ箱で拾った杖は最強でした。本当の持ち主とは?

 ヘルミーネは初級レベルの魔法使いで低ランク冒険者だ。ある日、クエスト帰りに冒険者ギルドに立ち寄ると、ゴミ箱にボロの魔法の杖が捨てられていた。自分の杖よりはマシそうだ。受付係に尋ねる。

「この杖は本当に捨てるんですか?」

「捨てるよ。Aランクパーティーが狩ってきたモンスターが持ってた物だ。どうせ食われた冒険者の物だよ。持ち主なんか出てくるわけない。君にあげるよ」

 彼女は、持ち主不明の杖をもらった。

「ありがとうございます」

出てこないだろうけど、仮に持ち主が出てきたら返そう。


 手に入れた杖は、古びて全体的に傷付き、先端部分は熊手のような形だ。

 かっこよくないし、私の趣味でもないけど使うだけ使ってみよう!意外に良いものかもしれないしね。


 ヘルミーネは試しに森に行く。低レベルなモンスターに杖を向けて呪文を詠唱すると、地響きがして地割れが起き、ドス黒い色の炎が相手を瞬殺した。

 強すぎる!異常だよ!

 

 彼女は自分の実力より格上のダンジョンにもぐり、杖の実力を試した。何度やっても一撃でモンスターを倒す。テストのつもりで杖を使い召喚魔法を試してみる。悪魔系のSランクモンスターが出てきた。自分で戦わずとも召喚して戦闘を任せただけでダンジョンを制覇する。

 

 とうとう、魔族の支配する森にまで足を伸ばした。ここで賞金をかけられた凶悪なモンスターを狩れば一攫千金だ。

 ついに、賞金を掛けられたドラゴンを倒す。杖でモンスターを召喚して、攻撃魔法の攻めも加えるとあっけなく勝ってしまう。


  喜んでいると後ろから声を掛けられた。

「俺の杖を使って邪竜を倒したね。その攻め方ができるのは魔王の杖だけだから。すぐ分かったよ」 

振り返ると、いかにも屈強な魔族が立っている。ヘルミーネは事態を理解し血の気が引いた。彼女が使っていたのは魔王の杖だった。

私はもうここまでだ。魔王の杖を盗んだのだから。覚悟した。


 魔王が近づいてくる。

「俺の杖を見つけてくれて、迷惑な邪竜まで倒してくれてありがとう。この森で杖を落として困っていたところだ。返してもらおう。お礼に予備で使っている杖をあげるよ。そのボロ杖に勝るとも劣らないからね」


 翌日、ギルドにヘルミーネの姿があった。受付係が気付く。

「また杖変えたの? 今度は新品だね」

「そうなの、知人からもらってね」

 魔王から杖をもらったことは、ヘルミーネの人生最大の秘密だ。

 

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