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3話 ボクのターン!俺をドロー!

「よいか、強いデュエリストは強いデッキを使う者。強いデッキとは強いカードの集合体。では強いカードとは何か? それは高額で取引されるレアカードのことだ! 我のターン、マジックカード”天輪の落雷”を発動!」


 空が黒雲につつまれ、ひとすじの雷がフクロウ男を消し炭にした。

――――――――――――――――

【天輪の落雷】

 マジックカード(即時)

 フィールドの飛行能力を持つモンスターを1体えらんで破壊する。さらに対戦相手に800ダメージを与える。

――――――――――――――――


「うわあ!」

【GUESTのライフポイント:3200】

「ブハハハハハハ! 続けて"幽冥の秘術使い"の攻撃! その名も”|幻影幽冥剣”ゴーストブレード””!」


 幽冥の秘術使いがナイフを一閃すると、無数の黒い刃がシンシアに襲いかかる!

「くっ……!」

 

【GUESTのライフポイント:3000】


「"幽冥の秘術使い"の特殊能力により、貴様のデッキの上から5枚が墓地に送られる。さらに我はカードを1枚ドロー! どうだ、これがレアカードの力なのだ! ターン終了!」

 本田は高笑いしている。


『シンシア、大丈夫か? デュエルスペースでは受けたダメージが体に伝達する。安全には気を配っているらしいが、けっこうきついだろう?』

「痛いよ。痛いけど……これがデュエルなんだね。ボクはこんな世界に飛びこみたくて、ずっとウズウズしてたんだ! 本物のデュエルを体験できて、今すごく楽しい。だから心配しないで!」


 シンシアは目をかがやかせていた。初めてとは思えない心の強さ。


『デュエリストの目だ……。その調子でいくぞ。いくら相手のカードが強くても、勝機はあるはずだ!』

「うん!」



 シンシアのターン。カードを引いてすぐに宣言する。

「マジックカード”立ちふさがる雲”を発動!」

――――――――――――――――

【立ちふさがる雲】

 マジックカード(永久)

 飛行能力を持つモンスターは攻撃できない。

――――――――――――――――


「これさえあれば秘術使いの攻撃をずっと防げる。さらに"フクロウ男"を召喚してターンエンド!」

 今度召喚したのもフクロウ男。スターターデッキに3枚入っている、攻守のバランスがいいカードだ。だが、こいつは立ちふさがる雲の効果を受ける。相手への攻撃はできない……あくまで防御の一手だ。


「我のターン、ドロー。手札から5枚のカードを捨てて”炎獣ギザール”を召喚するぞ!」

『なにっ!?』

 本田がセットしたカードから炎の柱がふきだし、こちらにまで熱風がふきよせた。


――――――――――――――――

【炎獣ギザール】

 モンスターカード:魔獣

 攻撃力:3000 防御力:2000

 炎獣ギザールは速攻能力を持つ。

 このモンスターを召喚するには手札を5枚捧げなければならない。

 このカードがプレイヤーにダメージを与えた時、そのプレイヤーはデッキのカードを上から5枚、自分の墓地に置く。

――――――――――――――――


 筋骨隆々の巨大な体。炎の角と真っ赤な目。召喚酔いを受けずに即攻撃できるモンスター!

 手札5枚と引きかえの必殺カード!


「地獄の炎よ、焼き尽くせ! ヘルファイアブラスト!」


 ギザールの口から炎の奔流が発射され、フクロウ男は一瞬で消し飛んだ。その破壊力がシンシアにも襲い掛かり、彼女の細い体は苦痛によって少し後ろに引かされ、端正な顔も一瞬ゆがんだ。

「くぅぅぅぅ!」


【GUESTのライフポイント:800】


「ブハハハハ! フクロウ男の守備力を差しいて2200ポイントのダメージ、さらにデッキから5枚のカードが墓地いきだ!」

「はぁ、はぁ……」

「どうだ! ダメージとともにデッキが削られるのは苦しかろう。しょせんクズカードの集まりはクズに過ぎんのだ! ターン終了!」


 シンシアのターンが回ってきた。ギザールの召喚によって本田の手札は0枚。フィールドのモンスター2体だけがヤツを守るすべてだ。


『よく耐えたな、シンシア』

「セルミくん、ありがとう。すごく楽しかったよ。本当にありがとね。正直にいうと、次のターンで終わっちゃうのが残念なくらい」

『君の言うとおりだ……このデュエル、次のターンで俺たちが勝つ』


「えっ、どうやって? 今の手札じゃ逆転はできそうにないと思うよ」

『おいおい、ターンがまわってくるんだぜ。1枚ドローするじゃないか。実をいうとな……今デッキの一番上にいるんだ』


 デュエルの最中、他人がデッキの内訳を伝えるのはルール違反だ。だから状況が確定するまでは黙っていた。


『今の手札と俺を使えば勝てる。”唯一なるもの、セルミラージュ”を使いこなすんだ!』


 シンシアの顔がみるみる力強くなっていく。そしてデッキに指をそえた。行くぜ相棒。

 俺たちは叫んだ!


「ボクのターン!」『俺をドロー!』


 ドローしたカードは俺。シンシア、勝利への道すじが見えるか? 君ならきっとわかるはずだ。


「マジックカード”奇襲”を発動するよ!」

――――――――――――――――

【奇襲】

 マジックカード(即時)

 手札から攻撃力200以下のモンスターカードを1枚えらんで召喚し、その召喚酔いを打ち消す。そのモンスターは、ターン終了時までプレイヤーを直接攻撃できる。

――――――――――――――――


「手札から”唯一なるもの、セルミラージュ”を召喚!」

『よっしゃああ!!』


――――――――――――――――

【唯一なるもの、セルミラージュ】

 モンスターカード:セルミラージュ

 攻撃力:100 防御力:200

 あなたの手札を1枚捨てる:唯一なるもの、セルミラージュはターン終了時まで攻撃力と防御力が200アップする。

 あなたの墓地のカードを1枚ゲームの外へ追放する:唯一なるもの、セルミラージュはターン終了時まで攻撃力と防御力が200アップする。

――――――――――――――――

つづく



"過去と未来、唯一なる今"

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