日記1
読まなくても大丈夫です!流し見ていただいて構いません。
xxxxx年7月7日
(今日、長年の目標であった実験が成功した!まだまだ不完全な状態には違いないが調整をすれば新人類といえる新しい生命体の誕生だ。
そのため実験体になにかあればまたこの日記に書こうと思う。
個体識別の為にNo.00と名付ける。
No.00のデータを元により完璧に近い生命体をうみだしてみせる。)
xxxxx年6月29日
(約1年がたった、観察を続けたところNo.00は成長が遅いことが分かった。これはNo.00のエネルギー効率の悪さが原因だと考えられる。No.00に施した能力に使われるエネルギーが多すぎるのだ、
そものため、身体の成長速度に影響がでている。
エネルギー不足を早急に対策する必要がある。)
xxxxx年7月17日
(前回の日記から5年が立っていた、いよいよNo.00の生命を支えるエネルギーが底を尽き掛けている。このままでは研究が頓挫してしまう。No.00を生み出したデータを元に新たに生命体を生み出す予定であったが上手くいかない、生み出すための理論とプロセスは完璧なはずなのに失敗する。データはまだ欲しい、No.00を失うわけにはいかない。やりたくはなかったがやむを得まい、自然治癒力を限界まで高める薬を投与する。寿命は伸びても1年ほどしか延びず薬の副作用が未知数だが致し方あるまい)
xxxxx年1月7日
(新しい生命体を作ることに成功したが脳の役割に近い機関しか生成されず体がなかった。
貴重なサンプルに変わりはないため保管することにする)
xxxxx年2月21日
(黒髪に茶色の瞳だったNo.00だが、頭髪の色が薄くなり鈍色になり、左眼が少し燻んだ色になった。これは薬の影響だと考えられる。
最近は順調に成長し実年齢の6歳に見合う少年になった。
言葉を覚えさせたが中々喋らない。それでも物語を読み聞かせる際に少年の瞳の奥に色が映るのは見逃さなかった。
まだ失うわけにはいかない。)
xxxxx年7月7日
(少年が初めて命令に背いた、ここ一年、悪環境の中でも生命を維持できるかを試すために防護服を見に付けさせず外を定期的に歩かせていた。今回はまず待機命令を出していたが少年は居なかった。しばらくすると珍しく顔にバツの悪さを滲ませながら帰ってきた。焦りはしたが感情が育っているいい証拠だと思う。だがもう時間がない、今回は私も少年と外を歩こうと考えていた。)
xxxxx年7月12日
(喜ばしいことだ!少年の枯渇していたエネルギーが今は満たされている、それも見たことのない高エネルギー波を放っている。これで少年は救われた。原因はあの赤い石だろうか?見たこともない材質であったのは間違いない。)
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「あれから…36年か…」
掠れた声をだすのは年老いた老人だ。老人の手には
古びた紙の束が握られている。だがただの紙束ではない、その中には溢れんばかりの想いが染みついた紙だ。
「…懐かしい…夢を見た…」
そう呟きながら約40年近く共にした紙の束を指でなぞる。
老人の目は現世と常世を彷徨っている。
その老人の目にふと光が戻る。
「忘れるところだった」
老人は手に持つ紙の最後のページを開き、
「折角、私が作った最高傑作の子だ、番号でなく名前をつけよう…あまり得意ではないがね…本来ならばもう早く気づくべきことだった…、もう1人の子にも…あぁ…いや、その必要は無いな…君がすでに名前を付けてあげていたね。」
こう書き記した。
(君の名前はレイト・ゼロだ、君の妹と仲良くするんだよ。)