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始まりの物語その7

「俺が街に帰ってから次の日になり……次の日と言うよりは夜が明けただけなので半日後なのですが」

「起きていたの?」

「いいえ寝ました。ただ連日夜に起きて昼に寝ていたので、全く眠くなくて辛かったのですが、寝ないといけませんでしたからね」

「なんでかしら?」

「それはもちろん夜が明けたらゴブリン退治に行くためです」

「数日なら待っても大丈夫だったんじゃないのかしら?」

「確かに家畜を盗みに来た昨日の今日でまた家畜を盗みに来ることはないでしょうし、巣を移されるのなら一晩待ってしまった時点で移されてると思うので、よく準備をしてからゴブリン退治に出るべきかとも考えました」

「でもすぐにゴブリン退治に行ったということね」

「はい。もちろん準備はしましたよ」

「準備はなにをしたの?」

「朝食を食べて村長にお別れを言いました」

「ふふっ死地に向かう戦士みたいね」

「今思えばなにかしらで巣に火でもつける準備でもしてから、家を出れば楽だったかなと思いますよ」

「あらそれはダメよ?山火事になってしまうかもしれないわ」

「ははっ確かにそうですね」

「もう!気を付けてね」

「大丈夫ですよ……今のところは」


「それでゴブリンの巣にはたどり着けたのかしら?」

「ゴブリンを追いかけたときに、ゴブリンが直進で逃げたおかげで迷うことなく、ゴブリンの巣まで着くことは出来ました」

「運がいいわね」

「更に運がいいことにゴブリンは巣を移動してませんでした」

「でもゴブリンは大勢いるのよねどうしたの?」

「正面から突っ込みました」

「まあ!嘘でしょう!」

「もちろん本当です。ある意味では初めての戦いだっのでよく覚えています。まず見張りが2体いたので、そのうちの1体を剣で倒しました」

「1体しか倒せなかったのかしら?」

「いいえその気になれば2体同時に倒せたでしょう。ですがゴブリンの巣の中に入るより外で戦いたかったのです。中には罠があるかもしれませんし、暗くて狭いので危険だと判断しました」

「冷静ね」

「まあ、その辺りは巣に来るまでの間に考えていましたからね。見張りは仲間を呼んだらすぐに倒しました。そこからは実は凄くあっけなかったのです」

「あっけなかった?」

「ええ、仲間に呼ばれて出て来たゴブリンを順に斬り伏せていくだけでした」

「なにか困ったことはなかったの?」

「強いて言うなら弓を撃ってくるゴブリンが1体だけいたことですかね?他のゴブリンはこん棒みたいなものを出鱈目に振り回すだけだったので、弓を使えるほど知能が高くなかったのかもしれません」

「それで全部を倒してしまったのね?」

「20体くらい倒したところで巣からゴブリンが出てこなくなったので巣の中に入りました。そしてその中にはもうゴブリンはいなかったのです」

「勝ったと言うことですね?」

「はい」

「怪我はなかった?」

「それが自分でも信じられないことに無傷だったのです」

「よかった……」


「ご心配ありがとうございます。それから俺は村に戻り、ゴブリンを全て退治したことを報告しました」

「信じてもらえた?」

「実は全く。でも現場を見せたら信じてもらえました」

「ふふっ大層驚かれたでしょうね」

「ははっ村長なんて卒倒しそうでしたよ」

「でもこれで平和な町が戻ったと言うわけね」

「はい。そうなのですが……」

「またなにか問題が起きたのかしら?」

「俺はそれからすぐに村を出てしまいましたので……」

「まあ、なんで?」

「理由は単純です。元々恩を返したらこの世界を旅でもしようかなと思っていたので」

「一区切りついたというわけですわね」

「はいですが村長に言い出すタイミングが難しかったのですが、村長には旅をしたがっていることは見抜かれてまして、村を出る話は村長の方から切り出されてしまいました」

「とてもいい方ね」

「はい。一生恩は忘れません。そして俺は村を出ました」


「それでこの国に来たのね?」

「はい。そしてマリー姫にお目にかかりました。こんなに美しい人は初めて見ましたので、一言交わせたらと思ったのです」

「お世辞がお上手ね。交わしたのは一言どころじゃないわね」

「とてもお世辞などでは……長いことお話させていただきましたね。お時間大丈夫でしょうか?」

「そうね、そろそろ習い事の時間だわ。準備しなくちゃ」

「それでは俺はこれで失礼します」

「窓からで大丈夫?」

「はい。それでは姫。また次の機会に」

「はい。またお願いしますわ」

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