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神殿にて
冷たさが残る静かなる朝
小さな社へと向かう
外界とは違った時が流れているかのように
肌に触れる空気が変わる
すれ違った巫女さまの
凛としたまなざしと穏やかなる表情に
安らぎを覚える
祈りを捧げし神殿には
心を痛めた人々を慰める
見えない優しさがある
何もせず佇んでいるだけで
体の奥から浄化され
心が澄んでくるのがわかる
御神木は風を受けて葉を揺らす
何も心配はないとでも言うかのように
太陽の光を浴びて人々を包んでいる
神さまと繋がった気がする
それは気のせいかも
思い込みかもしれないが
感じるエネルギーはまやかしではなく
たくさんの人たちが訪れる理由でもある
また来たいと思うのは
重すぎる苦難や思考を
手放せないからなのかもしれない
「またいらっしゃい。」
そんな言葉が耳をかすめた気がした
「さよなら。また来ます。」
振り返り見上げた鳥居の向こう側は
澄んだ青空
キラキラと光の花びらが舞っているように思えた




