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金木犀
秋の訪れを知らせる金色に薫る儚い風がそよ吹く。
花は可憐でとても小さく見過ごしてしまいそうなのに
魅惑的な清香で人の心にまで入り込む。
薫る風は、記憶の重い扉を開いてゆく。
寂しさに心が揺れる。
後悔がつのるのか、伝えきれなかった想いが苦しいのか。
少しだけ胸が痛い。
風に舞う小さな花は、それでも綺麗な香りを風に乗せている。
やがてくる冬を押し返そうとしているのかのように。
まだ散らないで。
そばにいて。
金色に薫る風が寂しさを抱きしめたら歩き出そう。
きっとまた来年も同じ風が記憶の扉を開けるから。
恥じることのないように。
必ずまた逢えると信じて。




