第八話 第十三のアルカナ、死神 ロザリー その三
「冗談だよね」
それが、僕に向かって中指を立てて振っている。宝具の影響で高い視力を獲得してなきゃそんな挑発も見ることは無かっただろう。女性の周囲は血で真っ赤に汚れていた。彼女の腰には二つの頭部がぶら下がっている。それはその女性の凶行であり、現場からうかがい知る事ができる強さの証明でもある。つまり、その武器は飾りではないという事だ。そんな大きな物を持ち運ぶに足る根拠と信頼を持っている事。
「エルセダスの国王と大審問官………の頭ですね……」
「王様!?どうして召喚した国王とその偉そうな肩書のヒトを殺してるんですか?」
意味が分からない。不気味な気配が充ち満ちてる。
「分かりませんが、狂戦士化してるのかもしれません。もし、エルセダスの戦力を国の中心から殲滅しながらここにやってきたとなると…厄介です」
「狙いは僕のようだ」
目が合って、彼女は愉しそうに笑ってる。彼女を更にもっとよく視ると、彼女へと到達する場所が見えてくる。虹のような長い長い糸で出来た架け橋。彼女を中心に広がる血だまりは彼女のものではないし、血だまりの中から複数の糸が四方八方に伸びている。
「ちょっと倒してくる。待ってて」
後ろからの叫びを無視して駆けた。眼で糸を捉え、架け橋を伝って走った。一歩、二歩、五歩。
「ははあはは。はーっはっは!」
頭の片隅にある僕の邪悪と狂気が乱舞して踊ってる。殺される僕を想像した。切られたり殴られたり潰されたり、あらゆる僕の死が脳髄に突き刺さってくる。彼女は死。死を司る大役を任されてると理解した。彼女の殺意に僕の琴線が弾かれた。笑いが止まらない。止まらないし、心のどこかでこのままずっと笑っていたいとも思えてくるけども、それが、僕にはそれがとても悲しかった。僕の心は既に狂って、状況と環境に人格がぶっ壊れてるのだと薄々分かってた。
「ひーっひっひはは。はっははははっはあはっは」
彼女は、僕に、挑発してる。
「あいつはお前にそういう術をかけてるんだ。しっかりしろ。お前はお前だ。流されんなよ」
鎧の内側から声が響いた。ぴたりと足を止める。360度の大世界のパノラマの中、大きな虹の架け橋の真ん中、僕は立ち止った。こんなところに来て。僕は何をしてるんだろう。これまでの思考の一切が無くなった。
「糸で満たされた世界という世界、この絵の中に生きる僕もお前も、バカみたいに踊ってる」
山も谷も大地も海も、この瞬間だけは、僕のもの。世界の中心だ。あらゆる人々があらゆる動物があらゆる生き物が、あらゆる想いが、僕に首ったけ。僕を想い、僕を願う。ここが世界の中心だと理解した。
「なんて詩的絶景なんだろうか………でたらめでむちゃくちゃな感動で、僕は理解に追いつかないよ」
誰も感じたことが無い誰も知らない誰も見たことが無い場所に、僕は文字通りここに直立している。世界の糸の中心。想いの中心。かつてないほどの世界一に、僕は今到達してた。
「っふーー。ありがたいよ」
世界が、僕を支えていた。
「僕のセカイ」
頭はしゃんとなった。もう大丈夫。ただ、涙だけが流れてるだけ。敵と対峙した時も、べつになんてことはなかった。ぶっ倒すだけだからだ!
「私の仕事は災厄の排除だから。あなたになるのかな」
「とりあえず、ぶっとばしてから事情は聴くか」
「これほどの戦慄は、比類無い。ミルフィーユの生地に果物が織り込まれるか?」
そう言った。随分と余裕めいた口調だ。おいおい、ここはもう戦場だぞ。そんなお洒落な物言いは、喫茶店だけにしておくべきだ。
「サルビナの英雄殿!これは我々の敵になる!既に術中に嵌って魔力切れは目前だ!手出しは無用!」
遠くで駆け寄りながら騎乗した兵士が大声で僕に向かって言った。
「これ?」
長髪の女性は大鎌を振り下ろして血だまりを鏡を砕くように割った。
「中規模の中流魔術ね、悪くはないけどいまひとつ」
馬に乗った騎士が突然血を吐き出して馬から崩れ落ちた。
「まぁいい。さっさと終わらせましょう」
糸が、視える。あまりにも太くて大きく、一瞬その糸に視界を潰された。
「…」
大鎌で攻撃された。見えなかった。金属と金属の激しい衝突音が聞こえた。横っ面に吹き飛ばされた。
「は?」
立ち上がろうとした動作の最中、自分の右腕に違和感を覚えた。それから自分の体を見た。へそ回りが見えるどころじゃない。全裸だった。
「え?」
「驚いた?でもわかるでしょ」
目の前に光の衝撃が弾けたような閃光が飛び込んできた。激しすぎる心臓がドラムを叩くように高鳴り、額と手と足、脇からも汗という汗がわっと噴き出す。それから心臓が冷たくなってくるような気がした。鎧が、破壊されたんじゃないか。足が訳も分からずぶるぶると震えて体重を支えるように意識して踏ん張らないと崩れ落ちそうになる。
「私大卒だから」
鎧が、消えてる。糸が、視えない。なんなら全裸だ。切り付けられた左腕を見てみる。出血すらしていないけど、青あざがあっただけ。衝撃で口を切ったのだろう、口いっぱいの鉄の味に、先の衝撃が未だに身体の内側から反響しているかのようだ。全身に悪寒が走った挙句に視界がぼやける。
「宝具殺しの宝具でね。専修科目は宝具の破壊と封印。しかし今回初めて一撃で壊せなかったレアケースで感動するよ。四桁レベルまであったんじゃないかと。召喚は代償と対価は同等。だから義務で、倒れてもらうよ」
横から大鎌を振られた。避けるように動こうとした瞬間、左腕を二の腕から切り落とされて、胸部にもかすめて血が噴き出す。映画みたいに血が勢いよく噴き出してる。冗談のように変な噴き出し方だった。目で見ている光景が、今感じてる痛みが、脊髄を伝って脳に飛び込んでるのにもかかわらず、この圧倒的な現実を受け入れることを拒否していた。
「…」
あまりにも、あまりにも、あっけない最期だと思った。
「…」
そう思って倒れ込んだ途端、身体が楽になって痛みが消えた。目を開けると、僕の肉体から黒いもやのような粘着質な何かが噴き出し、それが恐竜の腕のような三角爪の蹄の形を作っている。それが二つ生えてきて倒れ込んだ僕の身体を支えていた。僕の中の何かが吹っ切れた。せき止めていた僕自身の想い、人間として想い、動物としての想い、それらが丸ごと心から肉体の殻を破って這い出てきている。僕という形が崩れる、人格が無視される、想いそのものが剥き出しのカタチとなって噴き出した。
「こんなにも…」
誰かにかまってもらいたい、誰かを支配したい。誰かに愛されたい、誰かを犯したい。誰かと楽しみたい、誰かをののしりたい。誰かを友達になりたい、誰かを殺したい。
「…」
邪悪極まりない沸々とした憎悪のようなどす黒い感情が渦巻いてる。酷過ぎる。とっても酷いけど、これもまた、僕自身の欲求だ。冷静にそんな感情を分析してみると、我ながら感心してしまう。三次元なんてキョーミ無いね。そういきったように言うクールな僕は、どこ吹く風。肉欲と食欲を暴力で解決してしまうような凶悪犯罪者の想いも、あったのだ。誰にでも、どうなってもいいと思える時があるんだろう。だから今がその時だった。
「…」
目を閉じた。それでも視界が開けてる。気付いたら僕は巨大な鶏になって火を噴いていた。
「乱暴に、酉打ち立てる、地獄かな」
体が鶏に羽は歪な純白の天使のような翼を持ち、尾はいくつも生えて炎をまとってる。身体全体から炎がほとばしって、周囲の空を茜色に染め上げた。
「反転するぐらいの意思があるなら、情けないような生き方をするんじゃない!」
大鎌を持った女性は頑張って僕に抵抗しているが、吐息の火はちょっとしたマンションを火の海にするぐらいの勢いを持ってる。それに、宝具殺しがどうとか言ってたけど、もはやこうなってしまえば関係無い。僕の想いが自身が宝具の残滓と相まって肥大化していったのだろう。残念ながら、こうなってしまえばもはや学歴の意味は関係ないのではないだろうか。
「…ッく」
「…」
「解放………フィールド全開ッ」
気の毒な女性が何かまじないめいたものを呟くと、持っていた大鎌の刃が八つに分かれてそれぞれの刃が十分な威力でもって鶏である僕の肉体を12の部位へと切り分けた。当然、痛くない。僕はというと、特に何も感じなかった。僕の意識と肉体はあまりにもかけ離れてるせいなのだろうか。もう、肉体が勝手に動いているだけ。それでも、正直言って、情けないものだと思った。見えた動作と切り分けられた切り口がまるで違う。切った結果に切られた過程がおまけでついてきてる。因果律を無視するような事も可能なのか。
「ふうん」
分かれた肉体はそれぞれが独立して、それぞれの形態へと形を変える。そんな肉塊のような黒い塊がまとまって一つに合体する。遺伝子が持つ本来の殺傷能力に加えて、これから先人間が進化してゆくであろう姿になって。カマキリのような鋭い刃を持って脳みそはそれぞれ三つ、臓器は無く下半身はクラゲのように浮遊し毒を蓄えようと生成してる。脳はそれぞれが邪悪な呪詛を唱えて、毒に想いを込めようとする。
「…」
恥ずかしい事だ。
「…」
僕は一息吸い込むと、意識の水面下へ潜り込む。そして神経を伸ばして繋げる。もう十分だ。彼女の狙いは僕だけだ。戦いは終わった。これ以上は無意味。
「失礼したね…」
妙に律儀に潔さがあるものだと自分でも関心してしまう。それとも、持てる欲望を力に変えて解き放ったのがよほど気持ち良く、満足したのだろうか。妙に晴れやかな気分があったし、まるで何かに勝ったような気さえした。あまりにも的外れな考えだと自分でも承知はしているところだったが、死ぬ時ぐらい、そんな満足感を心に刻みつけたかった。ぐらりと身体の力が抜ける。崩れる。そう思った時。
「さぁ。約束の時。交代じゃな!」
自分の口が、勝手に動いた。気付くと僕は椅子に座って映画を観てる。ふと肩をもまれた。座ってる椅子がマッサージチェアだった。狂ったラプソディーは止まりを知らずじまいらしい。隣の牛頭がポップコーンを勧めてくる。
「…いけるね」
「だろ?」
もう二度と会えないとか思ってたけど、なんだこいつ。面白いな。友達かよ。親友かよ。泣いちゃうぞこのやろう!
「…」
スクリーンでは僕の身体が勝手に口を開いて喋ってる。交代というのなら、まぁ交代なのだろう。いつから僕の身体は交代制になっていたのだろうか。
「あいつ強いししゃーない」
「だよね」
牛頭がフォローしてくれた。続いてスクリーンに意識を戻す。
「へぇ。内包した人格によってオーラの色と質が変わるなんて興味深いね」
そんな事をスクリーン上で言われたが、決してそれは僕じゃない。僕の肉体は完璧に普通のまま死んだはずだ。それが心臓が再び動き出して、あろうことか、動けない。完璧に肉体の主導権を奪われてる。女王様か。
「これは肉体の人格ではなく、お前の壊した宝具に宿る魂の在り方を変えただけじゃ。なんとまぁ。どんなに素晴らしく美しい逸品も、壊れるときは一瞬よ」
「同感ね」
大鎌が縦に振り下ろされて、僕の左肩から一直線に股下まで切り落とされた。痛みも感じないどころか、そのままの姿勢は維持され、僕の口調はさして変わらない感じで続けられる。肉体を真っ二つにされてもノーリアクション。底知れない何かを感じざるをえない。
「思えば長い時間ご苦労であった。安らかに巡るが良い。本当に、本当に素晴らしい兵士であった…」
「…」
目を瞑り、しばしの黙祷。死闘の最中に、それは安らぎの時間を確かに感じた。文明レベルも場所も違う中、原始人から現代人、未来の進化したヒト、果ては異種族でさえも。全てのヒト、万物共通の所作だった。
「ねぇ。私無視されるの嫌いなんだけど。まだ時間かかるなら3分待つけど?」
「いや、もうよい。別れの挨拶は済んだ。お前さえ良ければ…偉大なる話を聞かせようか?」
「そういうのは無し。私他人の話に興味無いんだよね。そこそこ強いのは分かったから、さっさとやる気だしてくれない?」
「わらわに戦うつもりなどない。わらわが戦うなどと…」
そう言って微笑む。人って、こういうふうに微笑むのだなと思った。
「じゃあ終わる?それならそれでいいと思うけど。もうちょっと近くまで寄ってくれると魂の核から砕いてあげれるんだけど」
「ふむ。実はな。お前には褒美をやろうと思ってな」
「へぇ?」
「あの鎧は実はな。とある兵士の亡骸でな。死後も自分と同様に力無き弱者のためにと、死後の肉体と魂を明け渡した。自分の本来持つ未来も栄光も掴まずにな。もうかれこれ一万年を超えておる。それでもヤツは耐えておった。その気高き心と強靭な意思。あっぱれという他言えん。それがようやく終わったのだ。解放されたといってもいい。だから。理由はどうあれ。お前には礼を言わねばならん」
「ふうん。確かに、それはなかなかにしてスゴイね。自らを宝具へと昇華させるなんて。動物というヒトの枠を超えてる」
「だからな。わらわもまた、お前に対して礼をしよう。わらわが感動したように、お前にもそういう世界を見せてやろう。見ることは無い世界を」
「ふぅん、なんでもいいけどさっさとやりな」
極彩色の深海、数多の音が鳴り響きまるで大管弦楽団の重厚なハーモニー。
対峙した二人が向かい合って100メートル程度。空間に亀裂が入ってそこから水が溢れだした。水は二人を円にして100メートル以上からは見えない壁があるように水は進水しない。
「フィールドマジック………。私の知る限りではルールを組み上げた空間に対象区画を覆い込むような簡単なイメージだったんだけど、これ、現実を侵食してない?」
「わらわはこれしか知らん。元々水生のモノが異空間を水で満たすための魔法というか、まぁ魔法というか神秘………いや、奇跡と言われたな。侵食という言い方ではじわじわ時間経過とともに進行するようだが、どうだ?感じないか?大海の音楽が聞こえてくるだろう」
自信たっぷりにベルベットは言う。更に続ける。
「直径100メートル程度で見え易いよう距離を測ったがな。どうじゃろうか。…この美しさを」
水族館にいる錯覚を受けるが、賊の女が目を見張ったのはそこに棲む生き物達。竜、水龍、水羽ばたきのアゲハ蝶に超希少種族の人魚達の横行。視界に映る幻の世界は、今なお現存する摩訶不思議の秘境。次元を超える人間が力を合わせても発見できず、かつてない美しさを秘めた、秘密の海。
かつて見た名もなき吟遊詩人はこれを見て言った。―――世界がなるべくしてなる世界、なのだと。
大海原には小雨が降っている。それは無数の輝くイルカの群れ。群達は恐れなど感じずに進むべくを進んでゆく。重さ地球二個ちょっとの水龍は満腹になる夢を見ている。世界は静けさと穏やかさと騒々しさが両立し、幸福と寂しさと満足が成立していた。幾重もの幻が幾重もの幻の影に重なり、夢幻のかげろうをきらめかせる。起こったことも起こることも、見たい事が見たいように映された。女王の号令で皆は大張り切りで背伸びをしていた。月と太陽は重なり、世界は重複しても依然として、尊厳を保っている。数多の生命の繰り返しの中で永遠のサイクルに疲れたイルカが王女に向かって手を振ってる。何千何億何兆もの魂が蝶の姿で世界を群をなして横断している中で。数限りない世界は減る事など決してなく、永遠が担保された安心に今日も皆は舌鼓。震える海蛇は今日も人間を驚かせる。よって今日も一番のお祭り日和。
「未踏破の魔法、魔術、神秘の大系。………きっと気に入る」
それを目撃するべくして目撃する生物は、それを見てようやく完成するのだと女王は言う。彼女もまたそれに頷いた。
「満願成就の海を越えた先にある。欲のない人間しか来ることができない故、昔は子供もたくさんおったのだがな。時代が進むにつれ、乗り越える事が出来るヒトは随分少なくなった。攻撃力や破壊力が上がるにつれ、どこか脆弱になってゆく」
「なんでも願いが届く場所に着いたら、そこで冒険は終わりでしょう。とても生物としての体裁を保ってられない。形が、崩れる」
「普通はな。バカしか来れない世界もある。狂人しか見えない場所もある。しかし、本当の美しさを知ったのならば、それはもうすなわち、世界を超える事になる」
「この領域は、水質の強弱もあるんでしょう?」
「なぁに。ゆっくり見る分には、これが一番ちょうどよい」
「この世界に繋がるって、どんな気分なの?」
「あらゆる生き物の感覚を共有する。生きる喜び、食べる喜び、子が生まれる喜び、死ねる喜び、苦痛や悲しいという言葉は、この世界には似つかわしくないのだ。世界の在り方をただ見つめる。わらわは女王。賊に名乗る名などないが、青の女王はここにいるのだ。満足したか?」
「ええ」
終わりの近づきが、二人には分かっていた。こうなる事も運命、そうなる事もまた、運命だった。
「うん」
自身のおびただしい魔力を残らず大鎌に寄せて、振り抜く。ただのこの動作に、切れなかったモノは過去一度たりともない。が。横から切り分けられるところ、その肌の薄皮一枚のところでぴたりと止まった。反動も無い。予想外の手ごたえに脳裏をよぎったもの。惑星大の金剛石に小ぶりなピッケルで破壊しようと振り下ろすイメージ。単純にレベルの違いを感じる………どころではなかった。桁が違う。大きさが違う。強さが違う。そしてなによりも、美しさ。好物のスプーンが立つほど濃厚なココアに一等級の絵画が展示された美術館を独り占め、小鳥がさえずり陽が心地よく手入れされた見事な庭園を脇に添えて。最上の幸福だったもの。夢に見た最高のひととき。それが手に入った気分だった。幼いころから何一つ大切なものなどなかった、賊が手に入れた。とびっきりの思い出。
「…」
「とびっきりの一番星へ、ようこそ」
心からの歓待を受けた彼女は全ての魔力を出し切った結果、崩れ落ちるように頭から傾き倒れていった。
「ありがとう」
ロザリーは生まれて初めてふんわかした気持ちになった。
ロザリーのベルトから取れた二つの首が戦いを見届けた。
「ひどい有様だな。ほとんどがサルビナの目論見通りだ」
「だが、厄介な死神のアルカナを排除し、愚者のアルカナも輝きを失った。サルビナの切り札である二大秘宝のエイジャと聖者の遺体も無力化できた。―――今はこれでいい」