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永劫的な少女?  作者: 緑神江
2/8

第二話 非常識な少女?

さて……何処から話したものかな。


今は朝

僕は少女と出入り口となる僕が叩いたあのシャッターへと向かっている。

 一応この商店街を道として使う用に大きな シャッターを開けに来る人がいるのではないか?

もしかしたら昨日はシャッターの点検か何かで、今はもうシャッター上げちゃってたりするんじゃないか?


 なんていうじつに実現性乏しい

可能性に賭けて僕は今少女に足並みを揃えながらゆっくりと歩いている。


なんて文脈がある様で無い話は――いやないな皆無と言って良いだろう、まあそんな話はさておき。

僕が昨日体験した突拍子もない『事件』について話して行こう。


 と言うより話さなければならないのだ、

じゃなきゃグチャグチャだ酷いぐらいに文脈がない何だよ少女って気持ちわりぃってなってしまう……

 まあ今となっては『事件』なんて言い方をする程たいそびれた事じゃないのだが。

人によっては取り返しのつかない『大事件』になりかねないのでここは事の詳細を説明さして貰おう。


 まあ何があったか色々噛み砕いて説明すると……午後十一時位だったかな。

何かの物音で僕は起きる事になる。

すっ飛んで起きる事になる。

『何か』が発する音。

『何処からか』聞こえる百デシベルは優に超えるだろう爆音。

ノイズ音でもなければ物音でもない、異音でもなければ協和和音でもない。

僕の寝ている部屋には、押し入れとドアそれにタンスのみの殺風景な部屋こんな

怪音を奏でる様な物は何も無い。

「何だよ、これ……」


 何かしらの音、それを何の音か何から発しられている音なのか。

それを確認する前に、僕は『何か』に襲われる事になる。

背筋に走る寒気。

気持ちが悪い……気持ち……ワルイ……

吐きそうだ、死にそうだ、潰れそう……

瞬時に布団から飛び出し立ち上がろうと、

したものの立ち上がった瞬間に何かに明らかな()()()()押し倒される。

左右に目をやる、何も無い、誰もいない、何も見えない。

くるくる、くるくる、

苦々、苦々、

僕の視界が狂ってく。

回っているのは僕なのか?

それにしても、音が大き過ぎる……

「止めなきゃ……」


 何を? 何を止めるんだ?

這いつくばり布団から出ようとした時、呼吸が止まる喉に蓋でもされたのか酸素が肺に届かない。即座に両手で喉を締める、首を絞める。

何してるんだ? 何やってるんだ?

ワカラナイ ワカラナイ ワカラナイ

分からない。

少しバカリ冷静さを取り戻した、それと共に

突として布団で座り込んでいる僕の胸ぐらを掴む細い腕、までは認識出来た。

 でもそこからは僕が何をされたのか、誰が何をしたのかも分からない。

腕だけが見え、音だけが聞こえる。

時間にして五秒、僕の体内時計は短針が八十週はしていたと思う。

奇声の様な『何か』を発し僕を何かの腕で激しく揺らす、それと同時に脳も揺れる……

ぐらぐらと思考が耳から血のように垂れていたのかもしれない。

揺らしていたのかもしれない。

揺らされて無いのかもしれない。分からない、何が起こったかも全部覚えていない。

頭から消去された感じ

 でも、死ぬと思った、殺されると思った。

訳の分からない何かに、首を締められるもんだと……でも終わった。

そこで何かは消える何かの音も全て無かったかのように消失する。

目眩も、呼吸も本当に何も。

圧倒的な恐怖だけが残る。



 僕は悪夢等でうなされる事が多い方なので

またそれの類か、と

けど今回のは比にならなかった。

この異常な状況が異常な悪夢を作り出しているのなら納得がいかなくも無い……

そんな風な考えで自分を無理やり納得させていく作業 現実逃避とも言う。

それをどれ位続けたんだろう、今回の理解の範疇を超えた事件の解釈に……

で、僕の中では今回の事件は、一応唯の悪夢という事で固まった。

今でもそう思っている。

思うしか無いんだけど。

「ん――――」

 大きく背伸びし深呼吸

で、寝た睡眠を取った、またの名を2度寝。

驚かれると思うが仕方がない眠いんだ、

今回の件に付いてはもう呑み込んだし。

ここから出る事が出来たらこんな様な事は、僕の頭の中で唯の出来事として組み替えられるしな……

深く考えた所で答えはでないしな。

と、僕は気絶する様に寝てしまった





 でもでも、流石の僕でも良くは寝付けず

草木も眠る丑三つ時

何となく唯何となく夜風を浴びたい、

リフレッシュしたいそんな軽い気持ちで

商店街の道へでて行った気が――する余り覚えてはないが。


 それから10分ぐらい歩いたのかな?

商店街のぶらり旅。以外と風とうしが良いな、月明かりも入ってくるな通気性あるのかな――なんて言う小さな発見と今自分の置かれている状況を再確認した


『してしまった』――したくなかったのに。


 まあそんな自嘲的な話はさておき。

そう唐突に事は起こる。

何のフラグも伏線回収もなしに強引にさながらRPGの強制イベントの様に僕の目の前に

現れた新たな『事件』もとい『出来事』

捉え方によっては唯の日常の一コマ。

『それ』を何なのか認識するまでに時間は要らなかった。


 僕の目の前に『少女』がいたのだ、何を言っているか分かっても分からない思うが、そこに居るのが当たり前のように平然と僕の目の前に立っていた。

このスマホが普及した現代社会において歩きスマホをしている歩行者との衝突(それは比喩だが)そんな感じ。


そこから逃走するなりタガーナイフで襲ってくるわけでもない。『唯』平然と立っている何をする訳でもなく。

仁王立ちをしている訳でも

待ち伏せていた訳でも……

目は真っ直ぐ僕を見ており、店のシャッターにもたれかかっている。


 不気味だ――薬局の前に置いてある動物の置物の様な佇まい。

でも僕は『それ』を妖怪的な何か悪いものとして暫定する事は出来なかった。

『それ』か座敷わらしだとか

『それ』が今まさに僕を襲うとしてるとう

通り魔だとかそんな考えは出来なかった、

ここまで不気味な登場をしようとも、紛れも無くそこにいるのは『唯』の幼い少女だったのである。


「無理無理」

 怖気が走る、

逃げる超逃げる。

少女に背を向け

元陸上部の全力ダッシュ、長距離だったのでこの場合関係があるのか分からないが

とにかくしておいて良かった。

あんな内申点稼ぎの物やる必要――なんて思っていたが、心の変化は早いものだな一瞬で心変わりした、ありがとう陸上。


 ともあれ、陸上をしていたおかげで? 少女から距離を取るのには時間か要らなかった。言い方を変えれば『あっさり』追ってくるでもなく引き止めるもなく、

あんなインプレッシブな登場をした割は……


前言撤回怖いです。

無理です。

夜道でいきなりそれも本当の意味でいきなり

人と会うなんて恐ろしすぎる、戦々恐々してしまった。

ホラーゲームで良くある手だ何の前触れもなく大きいサウンドと共に出てくる何かのドアップ。その何かが青い鬼だろうとゾンビであろうと、そして少女であろうと怖い物は怖いのである。


 夜道は怖い、高校3年生でようやく知ったこの世の真理である。

いい経験をした、

もう帰って寝ていまっても……


知ってる行かなきゃ駄目だ、何でこんな夜に危険過ぎるだろ……と言うかそもそも何でこの中に居るのか。

取り敢えず色々考える前に動かなくてはいけないそんな感じ。

あいつがホッケーマスクでも被っていれば行かなくて済んだのにな――


 午前三時半この夜道街灯もなければ月明かりも薄い不気味な一本道閉鎖空間での唯一の道その先に待ち受けるは――少女。

何か緊迫感にかけるな、いや不気味さも相まって十分怖いか。


 とまあぶつぶつと文句を言いながらも、

徐々に少女のいるであろう場所へと近ずいていく。

いやもしかしたらもう少女はそこにはおらず、貴方の後ろに系かもしれない、

だとしたら今から死ぬことになるが……

いや笑えないなこれ。定番のフラグじゃないかモブが死ぬようなあれ。


 嫌だなそんな死に方。

ホラー物の序盤で死ぬ様なキャラにはなりたくないな、せめてヤムチャでありたい一矢報いりたい。

サイバイマンに抱き着かれる手前のあの、

闘争心むき出しの台詞を言ってから抱かれたい。その点で言えばヤムチャは僕とは違う本物の逸材だといえる、

明らかに身の丈に合っていない敵に勇敢に立ち向かうさまは戦士そのもの、

あのベジータ様でさえギニュー特戦隊相手には逃げるの一択だったのに。

なんてカッコ良く魅力的なキャラクターなんだと感心してしまう。

何の話なんだこれ、緊張感無さすぎるだろ……

 閑話休題。


 歩き始めて五分ほどたった、

この商店街も広くはないのでもうすぐ少女と対面である、夢中で走った為どの位離れた場所にいたのかは覚えてないので。

恐る恐る前を見ながらいつか会うであろう

少女に怯えながら歩いている。

少女相手に。

本当の本当に唯の『一般的な少女?』に。



 本来ならここに閉じ込められた同士としてたとえその同士が少女であろうとお姉さんであろうと喜ばしい出来事なのである。

この閉鎖空間に僕以外の人間がいるというこの事実だけで、随分僕の心は落ち着きを取り戻していると思う。

なので僕は恐れながらも少女との再会を心待ちに、とまでにはいかなくても期待はしていたと思う正直。

まあそんな期待も全て粉々に打ち砕かれてしまうのだけれども。


 歩き始めて五分ほど移動と言っても商店街の中なのですぐ終わる。

月明かりも消え、正確には厚い雲に覆われ本格的に暗くなってきた。

前が見えないとまでは言わないが午前3時夏で夜が短いって訳でもないので

普通に真っ暗闇

見えないのだ前が、僕も心霊スポットとかで以上に怖がる方ではないのだが――これは

流石に震え上がってしまった。

駆け足駆け足、と。

突としてまた僕の前に現れた『出来事』

『それ』を理解するのに時間は要らなかった。頭の片隅に置いていたはずだった。

現実逃避もとい希望的観測により潰されていた展開。

 ある一つの可能性今僕が考える

中での最悪の展開。

「はぁ――何なんだよ……本当に」

僕の目の前にまた現れた少女でもなければ

警察でもない、まただ僕の目の前には幾度となく見てきた大きなシャッターがごく当たり前のように下りている。


 慣れというのは怖いもので

日々同じ事を繰り返していると、それがどんなに大きい事でも慣れてしまえば小さく見えてくる。適応していく。

それをもっと続けると日々の生活の『唯の』一部分として自分の頭にインプットされる。ただ僕の場合はパンクと言っていいだろう()()()()()()


 小期間に余りにも大きな事柄を詰め込みすぎた、今までの様に酷く落ち込んだり走って逃げたり……

そんな事をする気にもならなかった。

諦めでは無い、例え少女が消え怪奇的に消えたとして今僕の目の前にシャッターがあるこの状況も。

楽観視すれば暗い中少女と僕がどちらも気ずかないまますれ違ったとも取れる――大丈夫まだそう考れる余裕がある、

戻ろうそして寝よう、あいつは諦めよう。


 そんな浅はかな……いや何も考えない

思考放棄。

それが功を奏したのかは分からないが初めの目的少女を見つける。

これは想定外――全くの意識外の方法で解決する事になる。


 居たのだ唯そうとしか言い様がない、寝る場所へ帰ると少女が三角座りをして居たのだった。すぐ様警戒態勢なんて事は出来なかったし、しなかった。

あれだけ神経をすり減らし少女を探していた事が馬鹿らしいぐらい「唯」眠そうに座っている少女そうとしか捉えようが無かった、この廃墟的な場所にいるのはミスマッチだが……


十二歳も行かない位の見た目で

どこにでもありそうな黒髪のロングヘア

座っているのに髪が地面に着く位だ

中々長い、前髪は流石に伸ばして

無い様に見える。

ミニスカに当たり外れのないTシャツ1枚いかにも夏休みの小学生って感じ。

胸は……そうか期待はしてなかった、期待する方がおかしい小学生に何を求めてるんだ。


 この場合余りにも『普通』過ぎて見る所がそこぐらいしか、

無かったからだ不可抗力だ許してくれ。

あんな飛び抜けた登場をしたもんだから、

少し期待をしてしてしまったのは確かだが、色々な所を見ただけ唯『それだけ』の事。

あの出来事も全て僕の勘違いだったし、極限状態における人間の心理とは分からないものだな。

ともあれ――その後話なんて本当にありふれいる。


 少女が眠そうに『本当に』気絶するんじゃないかって位に眠そうにしていたので

頭が落ちたり上がったりするやつ。

取り敢えず寝かそう、僕も眠いし正直頭が働かない。

半分寝ている少女を抱えて

僕が寝ていた場所へ連れて行くそこには当然二人が寝れる場所なんてない他の部屋も荒れまくりだし『仕方なく』僕が寝ていた布団へ少女を寝させその後僕も。


 高校生になって少女をこんな場所で

一人にさせる訳にもいかないので一緒に寝てやった。

同じ布団で添い寝してやった、

少女の髪が思いの外長くチクチクと

体に刺さる事や寝返りを打つ度に

身体のどこかしらが僕に当たり起こされてしまうとか、そういう事も全て我慢して一緒に寝てやったのだ。


 どうだ? 僕的には上手くやった方だ上出来過ぎる深夜にフラフラで眠そうな少女に会った時どうするかマニュアルの本に載ってもいいぐらいだ。

素晴らしい。社会貢献者表彰をもらってもいいはず。

でも少し不備があった事も認めざるを得ないがそれも微々たるもの、それは少女についてまだ何も知らないって事だ。


 その時は取り敢えず寝かしてから明日の朝にでも色々質問しようかな何て考えていたのだけれども――いざ朝になると少女の無視っぷりには驚かされた。


無視所か顔も合わせてくれない酷い嫌われ用だ、僕と歩く時もある一定の距離を保ってくる横並びに歩いてるとは思えない

距離感だ壁を感じる……犬猿の仲の仲すらも感じられない。

ヘコむ1週間は立ち直れない。


「なあお前どうやってこの中に入ったんだ? あんな夜中に用事があって

ここに立ち寄った、訳でも無いだろうし」

「それに、僕から逃げようとしない辺り――シャッターが下りてるのは知ってる様だけど……」


 歩き始めて早十分

ずっと続く沈黙に耐えられなかった。

「……」


 相変わらずこちらを見ようともしない。

そりゃそうだ今になって突然饒舌に話されてもな――俺が困る。


というより――今僕こんな事話している場合じゃないのだ少女の前では平然を装っているがは内心とてもビビっている怖い怖すぎる。


こんな内容のない様な話をしてる間にも時間は過ぎている、ここにいる時間が長くなる。

昨日夜は明日になったら大丈夫と、言ってはいたが今となってはそれすらも怪しい。

僕はそれを繰り返すんじゃないか?

と、疑う位サイレンの音すら聞こえない捜索しているのか?始まっているのか?


 昨日から車の音も、近くの道を使う音も全く人の気配がしない。


この世界には僕と少女しかいないんじゃないか?

そう錯覚するほどに『異常』な状態だった。そうこうしているうちにシャッターに着くその時点て答えは出てるが……

結果から言うと閉まっていた。

あっけなさすぎる。

知ってはいたが何かワンアクション欲しかった。


 軽く落ち込む、当たるとは思ってないのに引く単発ガチャみたいなもんだ、

そこまでのダメージは無かった。

一日一日何センチずつか開いていくみたいなダンジョン要素が欲しかった、昨日と何一つ変わらないシャッターこれが巨大な鉄格子とかだったら最高なのに……少女と閉鎖空間で囚われるとか。


 何てふざけていると、急に突として

不意に少女がこちらに身体を向けた、長い髪がなびいている。

「え――、と名前ご存知ないんですが、

あなた、最低です頭の中も昨日私にしたことも」

 謝罪を要求します、と

ギラギラした目でこちらを睨めつけながら少女がその小さく重たい口を開く。


「……ごめんなさい」

――ん? 今僕はなんの予備動作も無しに

少女に話しかけられてるのか?

戸惑いながらも深々と頭を下げた取り敢えず謝る、少女の記念すべき第一声が謝罪の要求という理解しがたい状況でも、怒られたら謝る。

怒られる理由がどれだけ理不尽なものだったとしても、僕が義務教育を十七年間受けてきてついてしまった悲しい習性パブロフの犬的なやつ。

勿論この謝罪に意思はない

只々受動的に誤っただけ。ビジネス的謝罪というやつだ。


「いいでしょう許します、寛容な心で接してあげましょう」

ふー、と大きく息を吐き身体を伸ばす。

ストレッチのつもり何だろうか、身体が固いらしく全然曲がってない。


「にしても怖すぎだったなー朝起きたら知らない人が横にいるなんて、

私も貞操は守りたいですからねこの年で子供を産むわけにはーいかないからなー」

「ここから出たらお巡りさんかな――

商店街に閉じ込められました拉致監禁だ! 執行猶予無し無期懲役って感じー」


「……」

 ちょっと待ってくれ、いきなり過ぎる。

脳が追いつかない。

さっき予備動作がどうこうとか言っていたが、余りにも無さすぎる皆無とも言ってもいい。

普通人間のコミニケーションというのはもう少し色々な過程を通して行われるものなんじゃないのか。

こいつの場合過程をすっ飛ばしてと言うよりは、過程その物を知らないんじゃないか、

と不安にさせる程に表情等に曇は無い。

これが当たり前であるかの様な立ち住まいだ。


 『どうかしましたか?』

とあちらが疑問符を投げかけて来そうなぐらい。

これが普通『常識』そんな様な考えを押し付けられてる感じ、コミ力がある人間は過程を飛ばし歩み寄ってくると聞いた事があるが、こんな一から百みたいな飛ばし方は聞いたことも無いし見たことも無い。

これじゃあまるで……

その考えを遮るかの様に少女がズンズンと近ずいて来る。

「さてさてどうしましょうか――」

 今から、と

顔をちかずけ胸を張り圧迫感のある佇まいでこちらを見ている、顔をちかずけと言っても僕とあいつでは身長差が激しいので勿論比喩だが。それほどに少女が大きく見えた。

見えてしまった、負けだ。


 これは少女に主導権を握られドンドン話を進められていくあれだ、僕が大嫌いなあれ。

主導権を握られても仕方かない様な事をしたのも確かだが、

辛い辛すぎるただえさえ自己嫌悪感で嫌になってるのに、

少女に主導権を握られ更に怒られるだなんて終わりだ僕の短い人生に終止符が打たれる。


 それだけは避けなければでも

如何せんこの圧倒的に不利な状況で主導権を握る否勝てるとは思えない、少女相手に勝ち負けを解いている時点で

負けな気がするが······

ともかく、出来るだて自分を大きく見せないとな……


うーん、と一伸びストレッチ片手に

(真似してみた)

「さて――どうしよっか?」

「……」

 僕だけが肩を竦める。

「いやぁ僕だって僕なりに昨日色々考えては見たんだぜ? このシャッター実は薄くて壊せるんじゃないか――とか、実は何処かに開閉ボタンが付いてたりするんじゃないかとかな」


「そもそも深く大袈裟に考え過ぎで、案外待ってたら勝手に助けが来るっていうお気楽な状況かも知れないぜ?」


「取り敢えず救助を待ってみようぜ、話はそれから……」


 イキってみた、これがイキリと言うのかは分からないが僕の中のイキリはこれだ。

少女の前でペラペラと早口で喋って慮った気になってる高校生、

これは第三者視点からしたらどう

映るんだろう……考えたくもないな、

タブーの領域だ考えちゃダメだ。


「――確かにそうかもしれませんがそれは楽観的過ぎませんか? 実際私はこの年で知らない人と一緒に寝るっていう『物凄く』危険な経験を強いられる状況なんですよ?」


「しっかり考えた方が良いのでは……」

「と言うか考えて欲しいです。

考えて く だ さ い!」


「確かに……」


「でもでも、ホントにどうしましょうか。

明明後日定期購読している雑誌が発売されるというのに――困りましたね」

うーん、腕を組みながら真剣に考える。


 そんなに共に生活するとなったら僕はもう僕を抑えられないぞ……

ゴホン、と相手からすると何に対する咳払いなのか分からないだろうが、とにかく気持ちを切り替えた。

え――


「でも救助が来るまで何をするってのは確かに問題だよな。今日中に来てもらわないと、食料やら寝る場所とか1日となると様々な問題が出てくるしな。」


「そうですね商店街に閉じ込められるなんて可愛い位の大問題ですしね」

……

それは食料の問題って事で良いんだよな?

「というか――名前教えてくださいます? お互いに色々知らな過ぎませんか? 一夜をすごした仲なんですからもっと親交を深め、ましょうよ!」


「無視をし続けていた私が言うのも何ですが、もう吹っ切れましたので。

大丈夫ですよ、もう1回ぐらい一緒に寝ても」

とん、と僕の胸をつく。

だったら良かったんだが。残念ながら身長差がそれなりにあるので、全然届かない。

うーん……と、大きく背伸びしようやく届く。良かったね。


それより……意味深だな、というかそのまんまじゃないのか?

『もう1回ぐらい、一緒に寝ても?』

これ、僕の心が汚れてるからとかじゃなくて――何なら意図的に言ってないか?

いやいやそんなことない

なだとしたら質が悪すぎる。


こんなピカピカの五年生みたいな奴が知っているわけがない、無垢な少女の可愛い発言と捉えておこう。

女性幻想を抱き続けようこの場合少女幻想になるのか。

嫌だなそんな幻想を抱きたくない、まだUMAはいるだとかフリーメイソンがどうだとかの小学校五年生辺りが好きそうな話題の方が好ましく有意義である。

はいこの話終了終わり。

将来性というか、生産性皆無だった。


 じゃ、取り敢えず。

「俺の名前は蟹江楽(かにえがく)だせよろしく。」

と、ベッタベタな握手を求めた

「私の名前は寒河江九(さがえここの)だぜ! よろしく」

両手で思いっ切り握られる、全く痛くはないが。

「さてさて……取り敢えず何処か落ち着けそうな場所で作戦会議と行こうか」

馴れ馴れしく九流のコミニケーション方法。


「昨日寝た所で良いんじゃないでしょうか? それとも何か他の場所を探し足り――だとかしますか? どうします?」


「いやそこで良いんじゃないかな、探すのも面倒だしな」


「じゃあ行きましょうか! レッツゴーですレッツ帰路です!」

「帰路って……」


「いや〜この商店街古いと言うか、味があると言うか何でしょう囚われの身としてはもう少し綺麗な方が有難いと言うか……

もっと言うと高円寺純情商店街に閉じ込められたかったですね」


「急に具体的だな、と言うか分かるんだそれ本読みなの?」


「もっと、もっと言うと。

もう一部屋欲しいですかね――」


 こいつ無視しやがった僕の疑問符を無視して自分の要望を言いやがった何て奴だ。

 でも凄い具体的だな分かりやすい。

「僕が言うのも何だが、もう許してくれよ。不可抗力だったんだよ」

本当に

「都合の良い言葉ですね、一緒に寝るだなんてしないで徹夜で私の見張りでもすれば良いのに」

「いやそれはそれで危ないか……」

 うーん、と真剣に考え始める。

探偵が悩む時にする様なあのポーズ

妙に様になって少しムカつく。

「閃きました! 貴方が夜どうしで外で作業しとけば良かったんですよ、それで寝る場所のシャッターを閉めといて――」


「罪に対しての罰が重すぎやしないか……?」


「いやいや全然そんな事ありませんよ。

あれだけ私の心に深い傷を負わしているんですから、あります? 罪の意識」

又だ圧迫感のある佇まいだ、まあいいもう慣れた唯小学生が無い胸をはってるだけ。

身長差も相まって何も感じない。


「いやどうだろうな」

「僕は手傷を負わす位に捉えていたが」

「……」

「酷すぎます、今私は恐ろしく引きましたよ……誠心誠意心のこもった謝罪が飛んでくると思ってた、のに」

「私のシャッター作戦より酷いじゃないですか」

「え? あれ本気でやるつもりだったの? 」


「ええもちろん、もし今日もここで寝るとなるとそうなります、ね」

 絶句した、恐怖だ僕にはそれを断る権利がない、罪をおかしてしまった。

恐ろしすぎる恐ろしい。


「いやでもちょっと待てお前がもしそれをするとなると。僕は徹夜で何も見えない夜道で僕は一人で立っとくわけになるんだろう」

「だとすると何かしらの罪悪感というか――心配と言うか――会ったばっかりとは言え、言っちゃえば運命共同体みたいなもんなんだし……」


「どうでしょうね? 罪悪感位私にもありますが、貴方の不幸は無味無臭と言うか……」

「無味無臭!?」

 何だろう小学生として、と言うより人間として終わってる気がする。

まだ蜜の味と言ってくれた方が可愛げがあるし人間味がある、気がする……どちらにせよ小学生が使う言葉でない、九さんは容赦が無かった……

「まあそんなことより、お話しましょうよ

こんなの久しぶりだしー」


「分かった分かったで、いきなり本当にいきなり。会話とは言えない質問攻めをするつもりなんだが、良いよな? 僕的には救助が来るまでのんびり雑談と洒落込みたいんだけど……」

また九流の登場だ意外と使い勝手がいいのかもしれない。

「なるほどーなーる良いですよ! どうぞどうぞ私を質問攻めにしちゃってください。」

と、急に足を止め妙に神々しい仁王立ちを始める。歩いてほしい


「うーんと、じゃあまず、歳は?」

「11」

「家は?」

「農道を過ぎた所の住宅街」

「体調は?」

「……ちょっと疲れ気味」

「家族構成」

「姉が一人」

「好きな食べ物」

「特に……」

「休み時間何する?」

「校舎探検」

「休日暇な日何する?」

「さんぽ」

「友達と出かけたり」

「……」

「みんなとボウリング」

「……」

友達の家でゲーム

「……」

仁王立ちが崩れてきた、後の光も薄くなってきた。

「友達は?」

「ん……」

 先程のウキウキした表情とは一転ゴーヤを無理矢理食べさせられた様な顔をしている。

死んでる、顔が……

ガクッ、と音が聞こえて来そうな位は肩をすくめる。

「分かった、分かった質問を変えよう。僕が悪かったな。」

「そうだなぁ――」

 正直僕は少女が何歳だとか少女が、

休日何してるだとか全く興味が無かった。

でも僕が唯一あいつの姉よりも気になる事……いやそれは訂正しようそんなものは、ほんの少ししか興味が無い。

 でもでも、僕が一つ、いや一つ度頃じゃない違和感の中で特に聞いておきたいものがあった。


「昨日の深夜なんで、ここにいたんだい? と言うかどうやって入ったの?

シャッターも閉まってたし。まさか裏口があるとか言わないでくれよ……」

「いい加減って言ったらあれだけども、聞きたいんだよ教えて下さい」

僕と少女の身長差は激しいので肩を落とした少女が一体どんな表情をしているのかは、全く読み取れないのだけれど。

 それでも、九の小さな手足が非汗と共に震えているのは確認できた。








































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