復讐の飯~最終回~
次の日の朝。
稲場が会社の中に入ると、そこには高田の姿があった。
今度はなんだと思いながら
稲場「高田さん。今日はどうかされたんですか」
高田「事件が解決したんで、そのご報告に」
稲場「そうですか。では社長室に」
本当は案内したくなかったが、追い出すのも嫌だ。そう思い、高田を社長室に案内した。
社長室に入り、稲場は荷物を置き、長椅子に2人は座った。
稲場「で、事件が解決したとは、どんな話なんですか?」
高田「それはですね。重本夫婦を殺害した犯人、それは、稲場社長あなたです」
稲場は予想外の言葉に、動揺しながら席を立った。
少し不機嫌な顔になり
稲場「根拠は?」
高田「あなたは、重本夫婦に復讐でこの事件を計画し、実行しました」
稲場「復讐?」
高田「あなたのお父様は、ある意味重本夫婦に殺されたといっても過言ではない。だからあなたは復讐を決意した。全てを調べ上げて、住所や名前も特定して、実行に至ったということです」
稲場「証拠は?証拠がなければ、ただの想像でしょ?」
高田「証拠ならあります」
稲場「どんな?」
高田「おそらく今、証拠を手に入れた頃だと思います」
稲場「は?」
高田「確か、あなたずっと家にいたと」
稲場「そうですけど」
高田「やはり、気になるんですよ。ニュースの件が」
稲場は困り果てた。しかし、ここまで自分を疑うこの刑事から逃れられるためにも、もう言うしかないと思い
稲場「そうだ。あの時ドライブに行ったんだ」
高田「ドライブ?」
稲場「その時に、そのラジオでニュースを聞いたんですよ。思い出した」
高田「では、ドライブでどこに行かれたんですか?」
稲場「どこも、ただ車でどこも寄らずに、走ってただけですけど」
高田「そうですか」
するとノックが聞こえ、稲場が返事をすると、岡田が入ってきた。
岡田「失礼します。警察の西蔵さんがお見えです」
稲場が喋ろうとすると、高田が割込み
高田「あ、それ私です。通してください」
岡田は慌てながら
岡田「わ、わかりました」
そのまま部屋を出ていく。
しばらくすると、西蔵が入ってきた。手には何やら書類のようなものを持って
西蔵「高田さん。ビンゴでした」
高田「ありがとう」
高田が微笑む。
稲場「な、なんですか」
高田「今来たこの紙が。あなたが犯人と証明する証拠です」
稲場「え?」
たった一枚のそんな紙で、俺が犯人と証明する?バカなこと言うなと思っていると
高田「実は、あなたの車を調べさせてもらいました」
稲場「は?どういうことだ。そんな勝手なことして許されるのか」
高田「あっ、捜査令状は取ってあります」
稲場「・・・」
高田「それで、これを調べさせてもらいました」
高田は稲場に紙を渡す。
それを見た稲場は驚愕した。調査内容にはETC履歴と書いてあった。
それには本社がある新宿インターから世田谷インターまでの首都高速利用履歴が残っていた。
高田「岡田副社長に聞きましたが、あなた、とてもせっかちな性格らしいですね。だから本来は一般道で行けば、ばれやしないのに、あなたはわざわざ高速道路を使った。それはあなたがせっかちだから。では聞きます。どこも寄っていないのに、なぜ世田谷で降りたんですか?」
稲場は何も言えなかった。それは負けたという証拠だった。
確かに自分はせっかちで、あの時も高速を使った。それが足取りになるなんて
稲場「全部あなたの言う通りですよ」
高田「ありがとうございます」
稲場「全部復讐ですよ。あいつらは親父の会社を潰した。だから同じ目に合わせたかったんです」
高田「ですが、あなたが殺したら、同じことです。人間それぞれ、冷静な頭は持っています。実行する前に、それを気づくはずでしたね」
稲場は頷き。そのまま高田に連れられ、警察署に向かっていった。
~最終回終わり~