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復讐の飯~第1話~

とある日のことだった。ジャパンフード食品株式会社・代表取締役社長である稲場健太郎は、東京の本社ビルにいた。

稲場はとても冷徹な人物であり、下の社員から恐れられているが、とても温厚な人物であるため、上の幹部からは評判はいい。

社長室で相変わらず仕事をしている。すると、副社長である岡田がノックして入ってきた。


岡田「大変ですよ」


稲場「どうした急に」


岡田が焦った顔で


岡田「クレーマーが来たんですよ」


稲場「クレーマー?いつもの事じゃないか」


岡田「それが普通のクレーマーじゃないんですよ。2000万の金を要求してるんですよ」


稲場「は?2000万?」


岡田が頷く。


稲場「どこの店だ?」


岡田「日本餃子赤坂店です」


稲場「よし行こう」


稲場と岡田は会社を後にして、ジャパンフードグループで1番の売り上げを記録している食品店「日本餃子」。全国に800店舗あり、とても大きな店まで成長した。その一部である赤坂店に向かった。

全くアポを取っていなかったため、裏口から入ると、丁度裏口付近にいた店長の大友が驚きながら


大友「あっ社長。副社長まで」


稲場「ちょっと話を聞きたい」


全く何のことかわからない大友は、呆然と見ており、それを見た岡田が


岡田「例のクレーマーの件だ」


大友「あっ分かりました。ではこっちの部屋で」


2人は大友に案内され、2階の応接室に来て、長椅子に座る。


稲場「2000万要求されているのは本当か?」


大友「えぇ」


稲場「なんでそんな額要求されたんだ?」


大友「実は、従業員が水をこぼしてしまいまして」


岡田「だったら、その従業員に責任があるんじゃないか?」


大友「ですが、そのあと監視カメラを見たんですが、そのクレーマーの女性がわざとこぼさせたんです。それが映ってました」


岡田「その映像はまだあるか?」


大友「もちろんです」


岡田「社長」


稲場が腕を組み考えて


稲場「よし、見せてもらおう」


3人はその監視カメラの映像を見た。そこには中年の男女が従業員と激しく言い合いになっている様子が映っていた。

その映像を見て、稲場は震え始めた。その男女は、自分の父親の会社であった「稲場食品」のグループ店であった「稲場餃子」にクレームに入り、現在と同じ2000万を要求した。

そのせいで会社は倒産。父親も自ら命を絶った。

その因縁の相手が今カメラに写っている。そのため怒りで震えが止まらなかった。


稲場「この男女の住所は?」


大友「え?」


岡田「住所を知って、どうするおつもりですか?」


稲場「直接交渉をしたい。それだけだ」


大友「いえ、住所は聞いてません」


悩む稲場。すると、近くにいたマネージャーの井畑が


井畑「もしかしたなんですけど、この夫婦の住所知ってます」


3人が驚きの顔をして


大友「お前なんで知ってるんだよ」


井畑「いや、僕のご近所さんなんですよ」


大友「本当か?お前確か家は」


井畑「世田谷です」


これは予定通りだ。実はこの井畑が世田谷に住んでいるのも、この男女の夫婦が世田谷に住んでいることを知っていた。このような行動を取ったのは、もし警察から疑われても、すぐに回避できるような、予め工夫をしていたからだ。


稲場「すまないが、案内させてくれないか?岡田君ついてきてくれ」


岡田「わかりました」


稲場と岡田は井畑の車の案内で、世田谷にある夫婦の自宅前に来た。


稲場「井畑君。ちょっと来て」


井畑「はい」


岡田「あの私は?」


稲場「君はここにいて」


稲場と井畑は車を降りて、夫婦の自宅前まで来て、インターホンを鳴らした。

一軒家で外見は凄く、高級そうな感じがした。

しばらくすると、男性が玄関から出てきた。あの夫婦の旦那の方である、重本卓夫だった。


卓夫「誰だ」


井畑「私、日本餃子赤坂店マネージャーの井畑と申します」


卓夫は嫌な顔をして


卓夫「なんだあの店のか。で、金を持ってきたのか?」


稲場「すいません」


卓夫の目線が稲場に変わる。


稲場「あの、私ジャパンフード食品株式会社社長の稲場健太郎と申します」


稲場が名刺を卓夫に渡す。


卓夫「あんたが社長か」


稲場「井畑君。先に車に戻っていてくれ」


井畑が戸惑いながら


井畑「わ、わかりました」


井畑は車に戻っていく。


卓夫「あんたが、あのバカ社長の息子か」


稲場「2000万だろ。あんたに支払う金額は」


卓夫「今日の夜までにもってこい。お前に持ってこられるかな」


稲場「わかりました」


そのまま車に戻る稲場


岡田「どうでした?」


稲場「大丈夫だよ。穏便に済ませてきた」


井畑「本当ですか!?」


稲場「本当だ。よし行こう」


その夜の事だった。稲場は自宅から持ってきた拳銃を持ち、急いで重本の家に車で向かう。

しばらく走って、家に着くとすぐにインターホンを鳴らした。

卓夫が玄関から出る。


卓夫「入れ」


家に入ると、内装も豪華だった。リビングに卓夫の妻・房江が堂々と座っていた。

卓夫が房江の隣に立ち始めた。


卓夫「金は持ってきたか?」


稲場「あぁ持ってきたよ」


そう言い、持ってきた拳銃で卓夫を射殺した。

房江は怯えて固まっていると、稲場は近づき、こめかみに1発撃ち殺害した。

そのまま、房江の手に拳銃を持ち、そのまま家から離れた。

これで稲場の完全犯罪は幕を閉じた。





~第1話終わり~


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