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1-2 夢
男は夢を見た。夢の中で男は、高校生の頃目指していた目標、小学校の教師になり子供たちに授業をしていた。教壇に立ち、算数の問題の答え合わせをしている笑顔の男の姿がそこにはあった。
夢は唐突に終わる。現実に引き戻された男の顔は憂鬱そのものである。
―くだらん夢を見たな…。まだ俺には教師への憧れがあるのか?今更なれるわけでもないのにな。さて、朝食にするか。
男は規則正しい生活を送っていた。朝7時に起き、夜11時には寝る生活。高校生の時からずっと変わっていない。
朝食はいつものようにキッチンの自分の席に置いてあった。
―今日で30歳か…。何の実感もないな。
男は珍しく、外に出かけることにした。何か特別なことを求めているのかもしれない。
男は、謎の高揚感を感じていた。