表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はコレでやせました(300kg→3kg) ~悪役令嬢、育成計画~  作者: ラボアジA
4章 マッチポンプ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/188

82話目 狼 vs 香辛料

 狼の窃盗犯は、翌日捕まった。

 名前はイサンドロ。なんというか、高価な相続品を盗みそうな名前である。


「チクショー! お前かよ!」


 顔を見るなり盗人に吠えられた。――いや、誰だよ。


「武道大会の一回戦で反則負けしてただろ!」


 あー、あのときの狼か。


 どうやって城に入った?


「城内の衛兵募集に雇われて、マジメにやろうと思ってたんだよ! そしたら、町でローブ姿の女に酒を飲もうって誘われて、気がついたら盗みの約束を……」


 はいはい、しっかり働くハズが、盗みを働くことになったと。

 フツーの人間が、ちょっとそそのかされたダケで悪事に手を染めるハズもない。それまでも、ずいぶんと不真面目・・・・な仕事をやってたんだろうな。


 国王が質問した。


「女の顔は見てるかい?」

「フ、フードを目深にかぶってましたので……見てません」


 ふむ、ビビってるな。真実か。相手がうまく隠してたんだろう。


「どうする、ガイ君? 囮に使うかい?」

「ありがたい申し出ですが、捕物がハデでしたので、コイツへの接触はないでしょう」

「分かった。じゃあ逮捕だね」

「そんな~」


 人のものを盗む奴は悪い。ましてやカレーの元になる香辛料となれば。


「オレ、そんな物盗んでないですよ!? 屋台の小物類しかなかったんだ!」


 あー、スマン。香辛料はお城の食物庫で預かってもらってた。国王直々に【防腐処理】の魔法をかけてもらってな。

 それでも盗んだらスゴ腕の認定をしてやったが、貼り紙もしてあったんだよ。「国王の【防腐処理】が効いております。【警報】と【追跡】もございますので、盗む方は覚悟して下さい」とな。それで盗む胆力のある輩は間違いなくスゴ腕だ。たとえスグ捕まってもな。

 あ、狼が盗んだ小物に吹き戻しが入っていたので、国王はそれを【追跡】した。そしたらコイツの荷物置き場にあったので、捕物騒ぎとなったのだ。


 さて、犯人も捕まったことだし、盛大な茶番劇をするかね。




 スラヴェナお嬢様は、お城の中庭でマルちゃんと鉢合わせた。


「マルヨレイン様? 私のお付きのガイが、盗みの被害に遭ったのですが」

「あらあら、それは災難だったザマスねえ」


 悪役令嬢と獣人派のトップが、ガッチリと睨み合う。


「アタクシが聞いた所では、犯人は狼だったはずザマス。犬人派が、カレー欲しさに仕掛けたんじゃないザマスか?」

「お生憎様。犬人派がわざわざ自分の派閥を使うかしら? 猫さんが仕掛けたのではなくって?」


 城内で気付いた人は、2人の様子に戦々恐々だ。


「それに、わたくしは犬人派から要望を聞いてますの。独立したいと」

「なんザマス!?」


 そこで、私がラファエルを伴って登場する。


「スラヴェナお嬢様。お言いつけ通りに」

「よくやったわ、ガイ」


 マルちゃんは、目を見開いて指をプルプルしている。


「何をしているザマス!? アータは犬人派の新代表! どういうつもりザマス!?」

「いつまでも2番手に甘んじる気はないという事ですよ、マルヨレイン様」


 ラファエルさんも演技派だ。


「うまい話は全て猫人派で、我らには残りカスばかり。――最近は、カレーとダイエット店のマッチポンプとまで揶揄されてました。その上、盗みの言い掛かりをされては、ガマンの限界です」

「なっ! アータ達、まさか!?」


 ラファエルさんは、お嬢様に向かってヒザをついた。


「我ら犬人派は、スラヴェナ王女様を支持いたします」

「歓迎するわ、ラファエル代表」


 盛大な茶番だな。


 見物人はハラハラしてるだろうが、演者たちは笑いが止まらんよ。ははは。




「ガイ、あなた怖い! あたし、稀代の悪女になってない!?」

「何をおっしゃいますやら。犬人派を見事に味方へと引き入れましたよ?」

「やり口が怖いわよ!」


 お部屋のお嬢様は小市民だね。


「あたしもね、みんなに反発されて切り崩すってのなら分かるわ? でも、みんなに望まれて・・・・とか、怖すぎ!」

「勢力がないのですから、敵を作ってはオシマイです。みんなに乞われて派閥を立ち上げるのは、むしろ当然のことですよ」

「あたし、あなたのコマになってない?」

「気のせいです」


 あくまでも大将はお嬢様だからな。私は手足に過ぎん。


 あと、他派閥にとっても、獣人派は多かったからな。仲違いしたと見せてお嬢様の派閥を形成すれば、マルちゃんの勢力が弱体化したと見えるだろう。


 それもこれも、狼が盗みに入ってくれたおかげである。ありがとう、コソドロ狼。名前は忘れたけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ