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80話目 犬の日生まれの猫

 本気でミーケに「プレゼントなし」などと言ったら大泣きされそうなので、慌てて適当な品を用意した。

 よくしなる細い棒の先端に毛玉を巻きつけた、ネコジャラシである。王族や貴族より安く、しかし実用性が高い一品だから、きっと喜んでくれるだろう。


「ガイ。それって、次の遊び道具にする気だったヤツでしょ?」


 はて、何のことやら。




 マルちゃん主催のミーケ誕生パーティーに、お嬢様&モーフィーともどもやってきた。


「ニャン。ようこそいらっしゃいませ、だニャン」


 ピンクのプリンセスドレスを着たミーケが、いつもよりしおらしくお出迎えしてくれた。


「スラヴェナお姉様、ガイ、あと護衛の人、楽しんでいって下さいだニャ」

「――ミーケ」

「何かニャ、お姉様」

「11才のお誕生日、おめでとう」

「えへへ……ありがとうだニャ」


 ぎゅっと抱き合う2人に、ギャラリーも温かいコメントを寄せる。


『お2人とも、お綺麗でいらして……』

『麗しい姉妹愛ですわ……』

『ハァ、ハァ……。尊い……』


 おい、また変なノイズ混じってるぞ。


 ミーケの誕生日は11月1日。猫なのにワンワンワンな犬の日生まれである。

 ちなみに、1ヶ月は30日。3、6、9、12月の最初に、それぞれ春分、夏至、秋分、冬至の日の休みが入り、1月の最初には新年の祝日が入る。ただ、このままだと少しずつ季節と暦がズレてしまうそうで、数年に一度、7月の最初に天体の祝日を入れて調整しているそうだ。


 西暦に比べると1ヶ月近く季節を早く感じるな。旧暦よりは遅いから、だいたいその中間か。


 セレーナとドロテーもお祝いにやってきた。


「ミーケ、おめでとう」

「よっ! お袋の名代として来てやったぜ」


 おいおい、ドロテー。それならお前自身は参加する気がなかったのか? いや、言いたいことは分かるが。


 ブリちゃんもコルちゃんも、代理を立てるだけで本人出席はない。政治と感情……まあ色々絡んでるよな。


 おっと、国王陛下が来られた。


「またひとつ大人になったね。誕生日おめでとう、ミーケ」

「ありがとうだニャ、お父様」


 可愛くカーテシーをするミーケに、パパはあっさり公務モードを破棄した。


「いや~、パパ嬉しいよ~。ついこないだ赤ん坊のミーちゃんをヨシヨシしてたと思ったら、もうこんなに大きくなるんだもんね~」

「ウニャ……お父様、それ毎回言ってるニャ」

「末娘は、とくべつ感慨深いものがあるんだよ~、うんうん~」


 ダーヴィドパパはしみじみと言ったのち、ミーケの後方にいたマルヨレイン様にも挨拶した。


「マルちゃん。きみ、ちょっとヤセた?」

「! 分かるザマスか!?」

「あ、やっぱり? 頑張ってるって話聞いてね。少し効果が出てきたかな?」

「ダーちゃん、嬉しいザマス~!」


 マルちゃんのがぶり寄りをしっかり受け止める国王。洞察力がスゴイな。それと体力も。


 あとで、こっそり話を聞いてみた。


「ガイ君が、ヤセさせる計画を練ってるっていうから、ひとまず言っておこうかと、ね?」


 ですよねー。


 さすが国王、如才ない。

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