表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/188

8話目 そして鍾乳洞へ

「さて! あなたの魔力の核を探すわよ! ――何よ。返事は!?」

「おー」

「よろしい」


 ゴブリンを食ってご満悦のお嬢様は、さっそく紫色の光を出した。


「これはね、【魔力感知】っていう呪文よ。あなたの砕かれた骨は、親指の先っぽね? 今は砕けたままだけど、さっき、あたしが残らず回収しといたから、魔力の核を取り戻せば再生するハズよ」

「ハズ?」

「多分……、きっと」

「頼もしいお答えですね。涙が出そうです」

「あんたはスケルトンでしょ!」


 知ってる。


「ときに、スライムさん。生きてる者を食すことは出来るんですか?」

「ダメ。生命エネルギーの抵抗って、スッゴク強固なの。寝てても気絶してても、全然食べらんないから」


 ああ、これはやったコトある言い方だな。それで、ダメだった、と。


「お嬢様の食へのこだわりは、無条件に信じましょう」

「――なんか、さっきから、ほんのりとバカにしてる?」

「いえいえ、まさか」


 食については絶大な信頼を寄せてると思って欲しいね。

 他? 聞くなよ。


「分かったわ。あなたの魔力核の位置が」


 お嬢様は、にゅい~っと義肢を伸ばして指し示した。


「向こうよ、向こう」

「牢屋ですね」

「違うわよ! も~っと向こう! 決まってるでしょ!!」


 はいはい。

 しかし、アレだな。向こう、ということは、おそらく戻ることになる。


 巨大な鍾乳洞へ。




 生誕の地へ戻ってきた。


「お嬢様、遅いです」

「いや……。あ、あんたが、速いのよ……」


 ブルブルと震えるスライム。息を切らせているのだろう。移動が最大の敵とか、お前は生前の私か。


 お嬢様の速度に合わせて、 優雅に歩くことしばし。

 鍾乳洞の中ほどに、場違いなはりがかかっていた。


「えっと、あなたの核は、あの横に通ってる柱? だかの根っこ部分にあるわ」


 地上から10mのところを水平に通る梁。キレイな直方体で、人工物のようだ。

 梁の端っこを見ると、そこには穴が開いていて、少し光が漏れていた。


「なんだ? 建物……か?」


 どういう造りなのかサッパリだが、核があるというのなら行かねばならない。


「カァー!!」


 む? また出たか!


 大ガラスの鳴き声が洞窟に響く。今度はゴブリンのショートソードで牽制したら、カラスはバサバサと途中で反転し、梁の端の穴へと入っていった。


「――なるほど」


 なんとなくだが、見えてきた。

 カラスは、光るものを集める習性がある。

 私の核も、スライムのお嬢様のように赤く光っていたのであれば。


「あいつが犯人だ」


 さて。どう攻略するかな。




「お嬢様。一応聞きますが、何か飛べる魔法はありませんかね?」

「あったら、ここまで飛んできてると思わない?」


 うん、そだねー。

 なら、数撃ちゃ当たるでやってみるか。


 私は頭を取り外して、梁の上に放り投げた。乗りさえすれば、リセットで呼び寄せられる。


「おっと」


 意外にも、1オンに成功してしまった。よし、じゃあ……。


「カァー!」


 その途端、カラスが頭めがけて突っ込んでくる。うぉっ! はじき飛ばされた。


 落下しながら、カシャカシャカシャーンと組み上がる私の胴体。




 おー、全部組めた。スゴいなー。


 ――むなしい。スゴくむなしい。






 ガラガラガシャーン!


 私はバラバラになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ