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私はコレでやせました(300kg→3kg) ~悪役令嬢、育成計画~  作者: ラボアジA
4章 マッチポンプ編

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77話目 トップの度量

 そこからは、一気にダイエット店の話が動いた。

 もちろん、お嬢様に私がやったような、1人1人につきっきりでヤセる指導をしていては、お金が跳ね上がってしまう。

 そこで思い出したのが、エアロビだ。

 音楽に合わせてリズムよく体を動かす仕組み。あれなら、多人数を一度に受け持つことができる。

 インストラクターは、礼節も元気もあるという、犬人派の好青年たちに担当させることにした。あとは、指導の仕方を私がレクチャーすればいい。


「まず、大切なのは、相手が初心者さんということです。なので、走ったり、跳ねたりという激しい動作は厳禁ですね。着地のさい、ヒザを少しずつ痛めてしまい、疲労骨折の原因になりますので」

「なるほど」


 部活時代に、ヒザを壊した先輩がいた。あれはツラそうだったな。


「では、足を前に上げて下さい……ああ、すみません。上がりすぎです」


 参加者の大半が、ハイキックはムリだろう。


「インストラクターというのは、動きを見せて、楽しく実践してもらうのが仕事です。太ももを上げるさいは、地面と水平ぐらいが上限でしょう」

「はい」

「あとは、笑顔ですね。そして元気よく。ストレッチから始まり、基本のステップと動作を行い、そしてまたストレッチでクールダウンです。休憩はこまめに摂りましょう」

「分かりました!」


 あとは宣伝だが、これも抜かりはない。




「カレーを売り出すザマス~!!」


 大々的に売り出され、たちまち大盛況となったマルヨレイン様のカレー店。

 実はマルちゃんは、これの他に、こっそりとVIP店も運営していた。


「セレブは特別感が大事ザマスからね。庶民と同じ物が食べたいと思っても、実際に庶民の店に行って食べるのはためらってしまう、そんなセレブは大勢いるザマス」

「それでVIP店ですか」

「ザマス」


 高級店街に、猫のシルエットの金属細工が掛かった会員制の料理店。正直、食べられる品は一緒なのだが、調度品とウェイターの対応が圧倒的に違う。また、並ばずに食べられるのもポイントが高いのだろう。

 今もまた、2人組のふくよかな淑女が入ってきた。


「ちまたで有名なアレ、食べてみたいわね」

「ですわねぇ」

「かしこまりました」


 優雅に奥へ引っ込むと、淑女たちはお喋りに花を咲かせていた。

 しばらくしたのち、カレーが運ばれてくる。


「はぁ~、いい匂いですわねぇ」

「このスパイスの混じり具合が独特で、食べる前から期待が高まりますわ」


 ご婦人がたは、大満足でカレーを食べ進めていった。


 食事終わりの談笑を見計らい、マルちゃんと私は顔を出す。


「ようこそ、いらしてくれたザマス~」

「あらあら、オーナー自らお出迎えだなんて」

「光栄ですわ~」

「オホホ……。実はカレーのアイデアは、こちらのガイちゃんから提供されたのザマスよ?」

「んまぁ~」


 口々にほめそやしてくれるので、頭を下げておく。


「実はガイちゃんは、健康的なシェイプアップ店も新規にオープンさせるとのことザマス。その最初の会員を募集中ザマスの」


 私はさりげなく紙を1枚ずつ渡した。手触りの良い質感のものを選んでいる。


「ご婦人様がた、素敵な講師によるレッスンでございます。決してハードな運動ではなく、楽しく始められるようになっておりますよ」

「あら、ヤセられるのかしら?」

「ザマス」


 マルちゃんは口の横に手を当てた。


「ここだけの話ザマスが、スラヴェナ王女をヤセさせたのも、ガイちゃんの力が大きいザマス」

「まあ……」


 おっと、紙を見る目が真剣になったぞ。


「ガイさんですか。日時はどのようになってますの?」

「はい。現在は2パターン用意してございまして……」


 説明後、2人はお試しコースを1度受けることになった。




「イェーディルの上流階級は、心地よい場所かどうかが重要ザマス」

「なるほど」

「極端に言えば、効果がほどほどでも、居心地が良ければ通うザマスし、効果が優れていても居心地がそんなに良くなければリピーターにはならないザマス」

「アドバイス、ありがとうございます」


 私は、ふと気になっていたことを聞いてみた。


「マルヨレイン様。そこまで分かっていらっしゃるならば、このダイエット店も運営できたのでは?」

「ガイちゃんが持ってきたお話ザマスから、やりたい気持ちはあったザマスよ? でも現状は、カレーに全力というのが1つ。もう1つは……、儲けすぎると良くないザマス」


 おや。


「それで、犬人派に譲ろうと?」

「トップの度量ザマス」


 なるほど。

 ダイエット店の価値を知らないのではなく、知っていた上で渡したと。


 姿こそユルいが、芯は一本通っているな。


「アタクシたちが利益の多い方を取るのは、食い扶持も多いからザマス。犬人派はいま猫人派の半分ぐらいザマショ? なら、カネにならない方。半分で上等ザマス」


 あー。


「アタクシが直接差配してもいいザマスが、彼らのメンツもあるザマス。こうやって反目してる方が受け取りやすいザマスよ」


 これは、バウバウとは役者が違うな。

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