表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/188

73話目 骨まで愛して

 私は城に戻って、いつものようにお嬢様&ハスキーと情報交換した。


「ガイ、こっちは工場のエルフさんたちと打ち解けたわよ」

「拙者もラインに入って作業しているだワン」


 ふむふむ、馴染んでいるようで何よりだ。


「私の方は、マルヨレイン様と契約を2つ結びました」


 カレーとダイエット店について、ざっくりと伝えた。


「ガイ。マルヨレイン様は順調っぽいけど、そのせいで犬人派のバウティスタ様がヘソ曲げちゃってるわね。そうなると、あのお爺ちゃん、ガミガミうるさいわよ?」

「そのようですね」


 カレーの披露パーティーのときも、ウンピョウ、サーバル、トラ、ライオン……と、見事にネコ科ばかりだったからな。

 名実ともに雷親父だったバウバウは、犬派トップの立場としても譲るわけにはいかんか。


「ただ、私の印象ですが、バウティスタ様はとてもお孫さんを溺愛されておりましたね。ですから、彼らに好かれれば、態度は一変するでしょう」

「でも、今のままだと、ガイの好かれ方ってカジられてるダケよ?」


 そうだな。


 お嬢様はハスキーの尻尾をモフっていた。


「ねえ、モフモフ。あなたも狼人よね?」

「はいですワン」

「ガイをカジりたいとか思ってる?」

「いえいえ、ガイ殿は人でございますよ? それは暴行傷害になりますワン」

「じゃあ、そういう法律がなかったら?」


 ハスキーがチラチラと私を見た。


「と……とても魅力的ですワン」


 まぁ嬉しい。ハダカの体を見せつけて、女性をトリコにしてしまったよ。罪な骨だな。

 ――虚しい。せいぜい骨まで愛してくれ。


「モーフィーさん。狼人として、私以上に興味を惹かれるモノはございますか?」

「そうですねぇ……あ、月が満ちているときなどは、ついつい空を見上げて遠吠えしたくなるですワン。これは多くの狼人に共通ですワン」


 ふむ、満月を見ると狼男になるという伝説もあったな。丸いものなら骨より食いつくだろうか。


 私は、手近にあった丸い物として、トレイをサッと見せた。


「ワン!」


 おや。


「あ、し、失礼……」

「モフモフ~? 月じゃなくても、丸ければ良かったの~?」

「いえ……。えっと、ガイ殿がテクニシャンで、つい……」


 私かい。意外な才能があったんだな。

 その後も色々と試してみた結果、ボールではダメだった。円形のものでも、ある程度の大きさが必要らしい。


 ――なるほど。つまり、お皿のようなモノならOKか……。


「ん? ガイ、その顔は、何か思いついたのね?」

「はい。お二方のおかげです」


 昔やっていた遊びを思い出した。


「どなたか、加工してくれる人が必要ですね」

「あ、それなら丁度いい人知ってるわよ。今日、キューブを配達したときに会った若いドワーフさん」


 ほお。


「刀剣や鎧とかを作ってる工房にいたんだけど、なんか、『あるてぃすと』とか言うの? 妙ちくりんなモノを作りたいんだって。そういう依頼があれば真っ先に引き受けたいのに、来ないって嘆いてたわ」


 ほほお。


「お嬢様」

「なあに」

「私の作るモノが、妙ちくりんだと思ってるんですね?」

「ええ」


 清々しい肯定だな、おい。

 そこまでヘンなものじゃないんだが。




「ヘンなモノの依頼、キター!!」


 うるさいよ、ロリドワーフ。

 というか、ドワーフで工房勤めというだけで、勝手に男と思っていた。


「私の依頼はヘンではないですよ。単に、木を円形にカットして、少し凹みと丸みをつけるだけで……」

「いやいや、十分ヘンだわさ」


 ぷいぷいと手を振られたのち、肋骨をペチペチ叩かれた。


「ふっふっふ、久々のヘンな依頼……。ウチのウデが、ワキワキ鳴るわさ……」


 まあ、やる気になってくれているので良しとしよう。


 ちなみに、ワキワキだかウキウキだか鳴るウデはしっかりしていたようで、指定のものをいくつも作ってくれた。


「ヘンなモノをまた作りたくなったら、『あるてぃすと・ロザンネ』に頼むといいだわさ!」


 分かった。「ロリ・残念」、略して「ロザンネ」だな。


「ロザンネさんには、これからたびたび頼むかもしれません。そのさいは、よろしくお願いします」

「本当に!? ウチは嬉しいだわさ! スケルトン、愛してるだわさ~!」


 抱きついてスリスリしてくれた。


 ええ……、モテ期到来……?


 ――違うな、これは明らかに違う。


 さて、3匹へのリターンマッチと行こうかね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ