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私はコレでやせました(300kg→3kg) ~悪役令嬢、育成計画~  作者: ラボアジA
3章 魔道大会編

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44話目 ザ

 お嬢様のやる気は継続中か。

 ならば、お付きとして、しっかり取り組むとしよう。


「ではまず、大会についてご説明願えますか?」

「分かったわ」


 お嬢様によると、魔道大会は9つの部門があるとのことだった。これは、8色の色別魔法部門と、1つの総合部門によって行われるらしい。


「で、花形はやっぱり、『総合』なワケね。あたしもこのトーナメントに出るの」


 そして、いつも成績がふるわない、と。……おや?


「妙ですねえ。お嬢様は、毎年ミーケ様に負けておられるのでしょう?」

「ぐっ……イヤなことをハッキリ言うわね」

「遠回しがお望みですか?」

「あんたの皮肉は、イヤらしいからダメ!」

「おやおや。皮も肉もございませんよ。なにせ骨ですから」

「そーゆートコロよ!」


 HAHAHA、ナイス、骨ジョーク。


「しかし、だとすると、お嬢様とミーケ様はかなり早めにトーナメントで当たっているのですねえ」

「あー……あのね、ガイ。今のルールだと、必ず当たるのよ」

「――は?」


 どんなハウスルールだ。


「大会には、最初にエキシビションがあるの」


 あー。


「ミーケとあたしは、そこでいつも戦ってるの。ほら、開幕から盛り上がる試合がないと、お客さんって途中から入るじゃない? そのエキシビジョンの1つに、王女同士の試合が組まれてるワケ」


 ふむ。たしかにトーナメントの序盤は、強敵同士が当たらないから、客入りが少ないだろうな。

 そういえば、相撲好きだったお爺さんが、たまに早い時間から取り組みを見てたが、最初は客席が空いてるとか言ってたし。


「で、勝った方はシード、負けた方はトーナメントの下からスタートなのよ」


 なるほど。だが、それだとエキシビジョンだけ見た後、一旦会場から出る客もいるだろうな。


「その飽きさせない対策として、トーナメントの下位をやってる間に、各色の魔道大会が同時開催されてるのよ。それがちょうど、シードの出てくる前ぐらいに終わるわね」


 ほお、ウマい事つなぎ止めてるのか。魔法に興味がなければ、そもそも武道大会だけ見るものな。


 と、いうことは。


「お嬢様は、みんなが見てる前で、5才下の妹に毎年負けてるんですね?」

「――そうよ」

「何年前から負けているのですか」

「ミーケが……6才のとき」

「はあ。それより前は?」

「年齢の下限が6才からなんで、向こうが不参加だったわ……。あたしはそれ以前からトーナメントに出てたけど、いっつも1回戦負け……」


 つまり、1回も勝ってないのか。


「でも、大丈夫。今年は2回戦を目指すわ!」


 ふむふむ、その意気だ。――と言いたい所だが。


「お嬢様」

「なあに?」




「なぜ、ミーケに負ける前提なんですか」




 その途端。

 私を見たお嬢様は、顔をブルブルと横に振った。


「か……勝てっこないわよ!」

「なぜです?」

「あたしは1回も勝ててないのよ!? 『ザ・デス』なの!」

「ザコデブスライム、ですか……。しかし、デブは解消しましたよね? あなたは、変わる力があることを見事に示したハズです」

「今度はムリよ!」

「大丈夫です。『ザ』も解消できますよ」

「でも、これはダメなの!」


 やれやれ。本当に、ダメな方向にはガンコだね。


「だって、出来もしないことを言ったってしょうがないじゃない! だから、身近な目標から挑むのよ!」


 ふむ。一理ありそうだが。


「話になりません」

「なんでよ!?」

「負け犬根性が染みついているからです」


 そう。

 大目標を立てた上で、そこに至るための小さな目標を次々こなすのならOKだ。やる気も維持できるし、今のペースが速いのか遅いのか、大目標までは遠いのか近いのかが分かるから。


 しかし、今のお嬢様の場合、「2回戦に行く」が大目標になってしまっている。


 次々と目標を変えていけるタイプではないから、始めにドカンとブチ上げておかないと、小さくまとまってしまう。それでは、みんなの見る目が変わらない。


「お嬢様? ここは強く言っておきますがね。ダイエット作戦のときも、もし私が最初から『上半身の脂肪を下半身に動かします』と伝えていたら、ナマケたでしょう?」

「うっ……そうね。最初のうちは、とくにそうだったかも」

「大目標は、高く設定して下さい。今回の場合、どこですか?」

「え、えぇっと……優勝?」

「それです」




「えぇ~!!?」

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