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私はコレでやせました(300kg→3kg) ~悪役令嬢、育成計画~  作者: ラボアジA
1章 出会い編

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12話目 本当に食べてしまったのか?

「しかしお嬢様、よくさっきの人間を食おうって気になりましたね」


 あの爺のマッドさは、短期間でよーく分かった。

 さっき落とされた人間にも、どんな薬物が注入されていたことやら。


「え? だって、そこに食事があれば食べるのは義務でしょ?」


 お嬢様はケロリとしている。ムダな格好良さは止めてほしい。


「お体の具合は大丈夫ですか?」

「平気よ~。多少の毒ならシビれるぐらいだもの」


 あーあ、そんなこと言っちまったら。






「あぁ……あぁぁぁああああ……」


 ほーらな。

 言わんこっちゃない。


 お嬢様は、青いゼリーをマグニチュード8で揺らしたみたいにブルブル震えていた。


「あぁあああ、あんんたあああ……」

「なんでしょう?」

「あぁぁあああたしのぉおお、ポケットにぃいい……げどくぅぅう、ざあああいぃいがああぁ……」


 素っ裸である。


「バカには見えない服ですかね? 申し訳ございません、あいにく脳ミソがないもので」

「あぁぁぁあああ……。へぇんしぃん、すりゅぅぅう……」


 お嬢様が青い光に包まれる。

 しばらくすると、サファイア色のワンピースを身に着けた、青い髪の女性になっていた。横たわっていて、やっぱり痙攣している。


「はぁあやぁああくぅううう……」

「はいはい。では、失礼しますよ」


 ポケットの中から、白い液体の入った小瓶を見つける。


「これですか?」


 ガクガクとうなずいたので、フタを開けて飲ませてやる。


「おげぇえええ……にぃいがぁあいいい……」


 良薬は口に苦しっていうからな。

 あと、うまかった場合、お嬢様が勝手に飲んじまうってのを危惧したのかもしれん。


 薬が効いたのか、お嬢様はすぅすぅと寝息を立てて眠りだした。




 ――まあ、そういうことにしておこう。

 大いびきをかいてるお嬢様とか、絵にならんだろう。




 しばらくして、お嬢様は目が覚めた。


「んぅ……あたし、どのくらい寝てた?」

「ほんの2時間程度です」


 寝る子は育つ。食って寝て、そしてまた食べて。

 おかげでこんなに大きくなりました。


「なにか、変わったことって、あった?」

「1回、はぐれゴブリンが襲ってきましたが、指弾で退治しましたよ」

「そう。――ありがと」


 お嬢様は青い光に包まれた。光が収まると、スライムに戻っている。


「あなた……い、いいこと? 忘れなさい」

「おや、何をですか」

「えぇっと。あたしの、人間体を」

「なぜです? 健康だったじゃないですか。ぷくぷくと愛らしいお顔立ちに、たいそう丸みを帯びたお体で……」

「イヤミか!!」


 お嬢様はどすんどすん跳ねた。おお、ほこりが舞う。気管支に悪いだろ。


「あたしの正体をバラしたら、あんたを生かしておかないんだからね!」

「もう死んでます」

「息の根止めてやる!」

「呼吸もしてません」

「――ひぐっ。うぅ……だ、黙っててよぉ、お願いだからぁ!」


 おっと、泣き声になっている。

 女を泣かせるのはイケナイと思うね。――本当だぞ?


「分かりましたよ、お嬢様。善処します」

「えぇ。ありがとう」

「そして、謝罪します。300kg……80貫は言い過ぎました」


 横たわるお嬢様を、とっくりと観察していたからな。

 誇大広告を一番忌み嫌っていた私が、レディに何という暴言を吐いてしまったのか。


「つつしんで訂正します。――50貫でした」

「ウギャーッ!!」

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