助けて…
エイミーが目を覚ますと辺りは暗くなっていた。
いつの間にか泣き疲れてしまったのか庭で眠ってしまっていたらしい。
眠い目を擦り、欠伸をしていると王宮の方から叫び声と怒鳴り声が聞こえた。
「何なんだろう…」
ぼーと考えていると、怒鳴り声が鮮明にが聞こえてきた。
「アンタのせいで私の夫も息子も死んだのよ!」
「お前なんて王を辞めてしまえ!」
「これって、革命?」
エイミーは首を傾げて聞いてみる。
しかし、周りには誰もいないのでエイミーの問は暗闇に吸い込まれて消えた。
どんどん近づいてくる怒鳴り声に恐怖を感じたエイミーはカランコエの中に入り、鍵をかけた。
しかし不安だったので奥の寝室に逃げた。
「大丈夫。大丈夫…」
エイミーは自分に言い聞かせた。
不意に扉がガタガタと揺さぶられる音がしたが、すぐに静かになった。
エイミーはホッとした。
しかし次の瞬間扉が吹っ飛ぶ音が聞こえた。
エイミーは声にならない叫び声をあげた。
バタバタと足音がして多くの人がカランコエに入ってきたのを感じる。
エイミーは涙を零し、ルドルフに貰った指輪にキスをした。
「助けて…ルド。怖いよ…」
エイミーは目を瞑って指輪を握り、寝室に人が入って来るのを待った。
しかしいつまで経っても人は入って来なかった。
代わりにエイミーは抱きしめられていた。
目を開けると、抱きしめていたのは会いたいと願っていたルドルフだった。
「ルド…?」
恐る恐る名前を呼び、頬を触る。
ルドルフは泣きそうな顔で
「エイミー、心配させてごめんね。」
と謝った。
「ここは?」
「ここはシュトラール帝国よ。」
後ろから声がして振り向くと、ルドルフに似た女の人が立っていた。