悪い知らせは突然に
それから一ヶ月程経った日のお昼すぎだった。
外でノイズが聞こえたので驚いて庭に出ると、空中にスクリーンが出ていた。
「なにあれ…」
エイミーが呆然としている間に、スクリーンに人影が写った。
「…!」
人影は、ルドルフとよく似た人物だった。
ルドルフと同じ黒髪で、違うのは瞳だけ。
スクリーンに写った人物の瞳は深海のようなウルトラマリンの瞳だった。
「彼ってたしか…」
エイミーは、暇つぶしにとルドルフが持ってきてくれた本に彼の名前が載っていたのを思い出した。
しかし名前を思い出せず、考えているとスクリーンから声がした。
「…は…だ。」
通信状況が悪いのか声がイマイチ聞こえない。
スクリーンに写る人物は気づかずに喋っていたが、少しして気づいたらしくマイクに手をかざした。
魔法をかけると思いきや、思いっきりマイクを叩いた。
「キーーン」
嫌な音がスクリーンから大音量で流れてきた。
しかしスクリーンに写る人物は音を気に止めずにマイクが聞こえるかマイクテストをしている。
「あー。マイクテスト。マイクテスト」
スクリーンの外にいる人に話しかけるとスクリーンの方を向き喋り出した。
「私の名前はウィリアム・オルコット、シュトラール帝国の国王だ。カイダの国の民達よ。お前達の軍隊は全滅した。お前達の負けだ。」
シュトラール帝国の国王のウィリアムが言い終わると画面が切り替わって焼け野原で作業する兵達が写った。
兵士達はシュトラール帝国の紋章のついた鎧を纏っている。
疲れた様子で皆どこかしら怪我をしていた。
「今回はいつもよりきつかったな。」
「嗚呼。カイダがあんな物を使って来るなんて…」
「でもそのせいで自爆しただろ…」
「俺たちは怪我で済んだだけましだろ。だって…」
そこで映像が途切れた。
エイミーはその場に崩れ落ちた。
「ルド…帰って来るって…」
涙が零れ落ち、視界が滲む。
空からはエイミーと共鳴するように、雨が降り出した。