表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
繁栄の代償  作者: 橘花穏
3/8

桔梗の花言葉

「…て。起きて」

「…んぅ?」

優しい声が聞こえてきて、重たい瞼を開けた。

「ルドルフ!来てくれたのね」

嬉しそうに笑うエイミーの頭を優しく撫でると、

「エイミー。話があるんだ。」

と出会った時と同じ凪いだ海の様な声で言った。

「あなに?」

首を傾げたエイミーのハニーブロンドの髪をさらりと撫でると小さくため息をつき、話始めた。

「明日、カイダはシュトラール帝国に総攻撃を仕掛ける。」

「総攻撃?」

「嗚呼。シュトラール帝国は獣人などが多いうえ、肉体強化や魔剣などを使っているから全体的に接近戦に強い。」

「カイダは?接近戦に弱いの?」

「普通だな。うちの国は人族至上主義にんげんしじょうしゅぎだから、魔法系の武器を輸入する伝がない。けど、それだとと負けるから、明日の戦いでは、商人達が持ち込んだ違法の魔法系の道具を使う。」

「んー?よく分かんないけど、勝てるといいね!」

エイミーはふにゃりと笑った。



突然、コホンと咳払いをするとルドルフはエイミーに花束を渡した。

「ありがとう。このお花は桔梗(ききょう)?」

「桔梗の花言葉を知ってるか?」

「えっと…」

ひとしきり悩むと、上目遣いで

「分かんない…」

と困り顔で言った。

「桔梗の花言葉は、『永遠の愛』だ。俺と結婚して欲しい。」

エイミーは微笑むと

「よろしくお願いします」

と言いルドルフの手を握った。

ルドルフは、

「ほ、本当か?!良かったぁ…」

と一気に脱力した。

「フフっ。緊張したの?絶対零度の人形(アイスドール)も形無しね。」

とエイミーは楽しそうに笑った。

「そんなこと言わないでくれ…。断られるかと思った。」

「まぁ。どうして?」

「だって、俺は軍人だ。しかも、最前線で戦っている。将軍だから、手柄を立てたい奴や暗殺したい奴は巨万(ごまん)といる。だから、断られないか心配で…」



エイミーはルドルフが話終わる前に抱きついた。

「どうした?」

抱きついたエイミーのハニーブロンドの髪を撫でると優しく聞いた。

「何かね、幸せだなぁって思って!」

ルドルフが、不意に叫んだ。

そしてポケットから小さな箱を出し、エイミーに差し出した。

「開けてもいい?」

キラキラとした目でエイミーが聞く。

「勿論」

箱を開けるとエイミーが叫んだ。

「キャー!お洒落な指輪!ありがとう。とっても嬉しい」

ふにゃりと笑うと指輪を左手に嵌めた。

うっとりとしているエイミーに

「肌身離さず持ってて。きっと助けてくれるから。」

「うん!」

ルドルフは微笑むと、

「それじゃあ、帰ろうかな。」

と言って立ち上がろうとした。

「ダメッ!朝まで一緒に居て…?」

「分かった。」

「ありがとう。ふわぁぁ」

エイミーはコクリコクリと前後に揺れている。

「運んであげる。おいで。」

「んー」

目を擦りながらルドルフに身を委ねた。

軽々とエイミーを持ち上げるとルドルフは寝室まで運んだ。



しかし、残念な事にルドルフの腕の中で眠ってしまったエイミーはルドルフにお姫様抱っこをされていたのを知らない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ