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4月 「さようなら」のその先

近くにいるだけではわからない、そんな距離に気づくお話。





「…じゃあ、さよならだね」








そういって彼女は俺の側を離れていった。


ずっと側にいたのに。


彼女と俺はクラスメイトだから顔を合わせたり、話したりはする。でも、移動教室だったり放課後だったり移動するときは絶対に俺のもとにこなくなった。


話しているときだって壁を常に感じるようになった。あんなに仲が良かったのにとダチにも言われた。



原因はわかってる。



『好きなやつが出来た』



そう俺が言ったから。


距離を置きたいから言った訳じゃないが、姉に言わせれば『他にオトしたい女がいるから邪魔』ということと同じ意味になってしまうらしい。



まあ確かに好きな子に誤解されるのはいただけないし、仕方ないのかもしれない。なんか変な感じはするが、とりあえず忘れよう。俺の本命はあっちだからな!









***






そうやって好きな子の尻をおっかけて数週間。積極的なアピールのお陰か、彼女への告白は成功した。


今日もその子と帰り道を歩く。いつもあいつと歩いていた道を。





「こないだ溝口がさぁ……」

「溝口くんて隣のクラスの?」

「あぁそう。あいつ中学からの知り合いでさ」

「へぇー」

「あいつマジ馬鹿なんだよ~」

「どんな風に?」

「あーなんつーの?物知らずっていうかなんていうか」

「ふぅん」





あいつだったら、もっと違う会話が出来るのに。


微かな違和感を感じてしまった。



それからはなし崩しのように、彼女とあいつを比べだしその度に違和感を拭えずに、ついに俺は、




「ごめん、俺、なんか違ったみたい」





「別れてほしい」






彼女に泣きながらビンタされたことは言うまでもない。


それから数日経ったある日、俺はあいつを校舎裏というベタな場所に呼び出した。





**





ここ数週間なんの音沙汰もなかったあいつにいきなり呼び出された。校舎裏といえば、いじめとかリンチのイメージ……まさか、ね。



「突然呼び出してわりぃ」


「いや別にいいけど…


で、なんの用?」



彼に恋人が出来たことは風の噂で聞いていた。知りたくもなかったけど。彼はモテるから噂もよく広がる。






「俺、お前が好きだ」





「は?」



「だからお前が好きだ」



「え?だってあんた彼女出来たって」



「やっぱ知ってたか…いや、あいつとは別れたよ」



「なんで…」



「お前が好きって気付いたから」



「そんな、」



「お前と距離を置いて離れてやっとわかった。




俺、お前じゃなきゃダメだ」












さよならをあなたに告げた。




その先に待っていたのは、











「気付くの遅いよ、バーカ!」








END

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