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隠す、放す
4月SSのプロローグ的なもの
言わないよ、この気持ちは。
だって大切なんだもん、この時間が、関係が、とっても。
「帰るぞー」
「りょーかーい」
手は繋がない。
そういう二人じゃない。
「どっかよる?」
「あー今日はいいや」
「なんで?」
「金ないんだ」
「わかるー私もない」
「どっちにしろ寄れないじゃん」
「確かに」
こうやって二人で笑ってられればいい。それだけでいい。
他には何も望まないから。
***
言いにくそうにしていた彼が言った一言。
「俺、好きなやつが出来た」
これで終わりだと思った。
ずっと気持ちを隠して側にいたけど、それは彼に彼女がいなかったから。
まだ好きな人レベルだけど、こんな素敵な彼に好かれてオチない女の子はいないと思う。それは好きの欲目だけとは言いきれない。
だから、
「………そうなんだ。
…じゃあ、さよならだね」
私はこの居場所を手放すの。
当時やっていたSSS111編の一部でもあります。これも三部の一ほどで挫折しておりますが。