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3月 プリーズプリーズ!

誰もが一度は願うのではないでしょうか。これは理想の話。





おいしいエクレアもかわいい服も大好きな歌手のCDもゲームも欲しいものはぜーんぶ我慢するから、



あの人の愛をくださいっっ!!






「ねーカゴメーどうしよー」


「なにがよ」


「愛がほしい」


「は?」


「里見くんの愛がほしい」


「あー無理ね」


「なんで!」


「だって彼、





二次元じゃない」







そう私の好きで好きでたまらない彼は、この世界の人ではない。


『らぶキッス☆』という乙女向けゲームのキャラクター、里見瑛次くんだ。高校三年、生徒会長で首席、183cmの高身長に淡い茶色のサラサラヘアー!そして超絶美形!!たまらんです。


そんなステータスの彼は、当然二次元の住人なのです…。私の恋は、始めっから玉砕決定。


でも二次元の壁なんて恋する乙女には関係ないのよー!!


なんてね。無理なことくらいは、どう頑張ったって無理なことくらいは、わかってるよ。


だけど好きなものは好きなんだ。










「ゆかり帰るよ」


「え、ちょっと待って、おいてかないで!」



ぼぅと考えていたら、カゴメに置いて行かれそうになった。いくら幼なじみでも酷いわ!



「カゴメーマ○ク行こー?」


「今日はバイト」


「ちぇー。あ、じゃあ行ってもいい?プリズム」


「好きにしたら?」


「あそこの紅茶好きー」




カゴメは『プリズム』というカフェでバイトをしている。明るくて、爽やかでどこか優しい感じのするそのお店が私は好きだ。きっとカゴメもそんな所を気に入って働いているんじゃないかと思う。


気まぐれに寄ってみようと思った偶然が私の運命を変えたのだ……って言ったらきっとカゴメあたりに鼻で笑われそうだけど、ほんとうにそう感じたのだ。


あの出会いは。









「オレンジフレーバーのアイスティーと、ショコラシフォンケーキね!」


「かしこまりました」


「え」



やだ私ったら!ついカゴメだと思ってすっごいフランクに言ってしまった…!!今の声だと完全に男の人!!!



「あっごめんなさい、友達だと勘違いしちゃ、………」




ずっとメニューに向けていた顔を、その声の主に向けた。



そこにいたのは、




「どうかしましたか?」





困ったような笑顔で佇んでいる彼は、







「……………………さ、」




「え?」








「…………里見くんッッ!?」





「……いや、俺は榎本っていうんだけど…?」


「……はっ、い、いいや、なんでもないです、ごめんなさいすみません…」





ていうか、え?嘘!?なんで??!いや彼は里見くんじゃなくて榎本って人だけど、ほんとにほんとに、里見くんにそっくり…!


ぽかーんと口を開放したまんま私は放心状態。今どんなにマヌケな顔をしているかなんて考えたくない。それを里見くん似の彼に見られているなんてことはもう記憶から削除!(キラッ)




「えーと、ご注文は以上でよろしいですか?」



「はっ、はい!



……………っ、あの!」





振り向きかけた彼に、






「と、友達になってくださいっっ!」




思わずそう声をかけた。一瞬冷静になった自分がいきなり何を言ってるんだってツッコミをいれる。恥ずかしくて赤くなる直前、彼の声が聞こえた。





「…………………俺、でよかったら、いいですよ」





にっこり。



ズッキューン!





そんな、ちょっと理想の顔でその笑顔は反則じゃありませんか!?













プリーズプリーズ!





あの人じゃないのはわかってる。


でも彼の笑った顔に、惹かれた。


画面を越えられない愛を求めるより、今は彼の笑顔をもっと見たいのよ!!









END

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