空がいた世界3
「あの、これからタメでもいいですか?」
直葉が顏を覗き込みながら言った。
私が答えようとすると、先に空が言った。
「いいよ。――ね、友達にならない?」
すると、直葉と琴海は嬉しそうな表情で、同じタイミングで口を開いた。
「うん!いいよ!!これからよろしくね!」
みんなでたくさんしゃべっていると、空がお茶を飲みながら言った。
「あれ?そういえば、二人はウチラと同じ高校だよね?何年生なの?」
「えっと私たちは今一年生で1組だよ?空と花は?」
直葉が空の質問に答えて、次に私たちに聞いてきた。
その言葉に対して、私が答える。
「私たちは、2組なの。違うクラスだね・・・」
花は少し残念そうに言った。
すると、空が明るいトーンで喋り出した。
「でもまぁ、休み時間とかに会えばいいし、同じ学校だから、いつでも会えるよね!そこまで気にしなくていいじゃん!」
「そうだね」
直葉は笑顔で言った。
空が、喋り出すとなぜだか周りが明るくなるような気がした。
私もそんな空に助けられてきた。
そんな空が大好きだった。
私たちは、結構長居してしまったため、帰ることにした。
「あ、直葉たちはそっちなんだ。ここでさよならだね~。」
空が微笑しながら言った。
そして、琴海が言う。
「そうだね。それじゃあ、また明日!」
「またね~」
私と空は直葉たちに向かって、手を振った。
くるりと向きを変えると、二人いっしょに歩き出した。
すると、空が明るくしゃべりだした。
「また友だち増えて良かったね~。これからも仲良くできるといいね!」
空がにこにこしながら言った。その言葉に対して、私も口を開く。
「うん、そうだね。あ、あのさ今から空の家行ってもいい?」
そういうと、空は少し顏を曇らせた。
「・・・どうして?」
「そういえば、一回も行ったことないなぁって思って・・・。あ!だめだったらいいよ・・・?」
「ごめん。家は・・・無理なの」
「そっか」
そこで、少し空気が重くなった。
どうして行ってはいけないのか?すごく気になってしまった。
中1の夏に知り合って、一回も行ったことがなかったのは、家の話題が出たことがなかったからだ。
そのことを、いつも不思議に思っていた。
今回やっと言えたが、結局いけない。
空は、何か隠してるのかな。