空のいない世界3
空の前で、何も言えなかった私たちは、帰ることにした。
陽「また、いつでも来てね。」
そう言って、帰ろうとしたときにある言葉が、脳内をよぎった。
≪私、日記書いてるんだよね≫
空の言葉。
私は、しまった玄関の扉を勢いよくあけた。
花「あの!空の日記を・・・貸してください!」
陽子さんは、少し驚いた顔をしていた。
でも、すぐに普段の顏になって、「いいよ」と言った。
陽「・・・私、空が日記書いてること知らなかったんだけど、書いてるの?」
花「えーと・・・、前に空から聞いたことあって・・・。」
私は、そう答えた。それにしても、どうして陽子さんは知らないんだろう、そう思った。
空の部屋に案内されると、きちんと整理されていて、部屋は前と変わらぬ同じままだった。
部屋は、落ち着いた感じで白や水色のものが多かった。
私は空の机の中を探した。一番したの引き出しの中に、日記はしまってあった。
花「・・・これだ」
私は、日記を手に取り立ち上がった。
そして、陽子さんと一緒に玄関まで行く。
花「今日は、ありがとうございました。」
私は、深くお礼をした。
陽「ううん、いいの。私も、久しぶりに花ちゃんたちに会えてうれしかったから。それじゃあ、またね」
花「はい」
そこで私は、陽子さんと別れた。
琴海と直葉待っていてくれたようで、坂の下の方で待っていてくれた。
直「それ・・・。空が前話してた日記・・・だよね?」
花「うん。気になってね」
琴「空の家での事情とか?」
花「そんな感じ」
直「何か見つかるといいね」
私たちは、その後十字路で別れた。
私は家に着くと、すぐに自分の部屋に行き、カバンを下して日記の中を見た。
1ページ目には、日記を書き始めた理由が書かれてあった。
内容は、普通で『読み返すと面白いから』と、そう書いてあった。
そこからも読み進めたが、全部私たちの知っている出来事だけが書かれてあった。
花「・・・なんにもないかぁ」
結局8月30日までなにも変わったところはなかった。
私が、諦めて日記を閉じようとしたときに、何かが落ちる音がした。
ドサッ
花「ん?なにこれ?」
落ちたのは、日記より少し小さな手帳だった。
中を見てみると、日記が始まった日付より何年も前の出来事や思ったこと、考えたことが書かれてあった。
それを詳しく読んでみると、今まで見えなかったもう一つの空が見えてきた。
花「・・・なに・・・これ・・・本当に、空のもの・・・なの?」