空のいない世界2
空の家に行くまでの間、なんとなくだれもしゃべらなかった。
話題を探しても、何を言えばいいかわからない。
重い空気のなか、私たちは歩いていた。
淡々と歩いていると、知らない間に空の家に来ていた。
直「えっとー・・・。チャイムないから、あけていいよね?」
花「いいんじゃない?」
直「おじゃましまーす」
少したってから、玄関に陽子さんが来た。
陽子さんというのは、空の母のことだ。いつも、明るい人だった。
陽「あ、直葉ちゃん!いらっしゃい^^どうしたの?」
直葉は少し間をあけて、口を開いた。
直「あっ、あの・・・!空に会いに来て・・・。」
陽「ああ、空にね。いいよ」
陽子さんは、いつものトーンで言った。明るい声で・・・。
でも、私には悲しそうな声に聞こえた。
陽子さんは私たちを家にあがらせ、奥の部屋に案内してくれた。その部屋の襖を開けると、空の写真が飾られている仏壇があった。
それを見た瞬間に、「本当に、空はいないんだ。」
そう、今分かった。
空の前で、だれもしゃべらなかった。
長く重い沈黙を解いたのは陽子さんだった。
陽「どーして、死んじゃったんだろう?」
陽子さんは、首をかしげて、微笑しながら言った。
陽「私、何にも気がつけなかったなぁ。あの子の変化に。」
陽子さんは、泣きながら笑っていた。本当はすごくすごく後悔していて、すごく悲しいはずなのに・・・。