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  作者: ひよ
20/22

私がいた世界5

7月のはじめごろ。

私は立夏と遊ぶ約束をしていた。

昨日の放課後に、立夏から誘われて遊ぶことになった。

私は、ものすごくうれしくてにやけが止まらないほどだった。

「あっ!どんな服着ていこう!夏だし、ワンピースかな?それとも、普通にTシャツ?どうしよう~・・・・。あ!お金は何円くらい必要なんだろう?全然使ってないから、たくさんあるや。あ!靴はどうしよう?歩きやすいようにスニーカー?それともサンダルかなぁ・・・。ていうか、どこに行くんだろう!?


髪形はどうしよう~・・・。いつもみたいに髪おろしていこうかな・・・。結んだ方が邪魔じゃないからいいかなぁ?あ~・・・!まとまんなぁい!!」


ずっと慌てていて、気づいたら待ち合わせの時間になっていた。

結局一番楽な恰好にした。お母さんもお父さんもいないので、メモだけを残して家を出た。

自転車なんて持っていないので、走って公民館まで向かう。

息を切らしながら着くと、まだ立夏は来ていないようだった。

「よかったぁ~・・・。」

私は、公民館の入り口の脇の石段に座って待っていた。

今日の最高気温は29度であり、外で待っている間少々辛かった。

石も、だんだん熱くなってきて、少し触れただけでやけどしそうだった。


待ってから、1時間近くたっただろうか・・・。

いっこうに立夏が来る気配はない。

私の頬や首筋をたくさんの汗が伝ってきていた。

喉も乾いてきて、頭がくらくらしてきた。私は、いったん公民館の中に入り、涼しいクーラーのきいてる場所で30分くらい休んだ。

そして、また外に出て待ってみる。

時刻は12時45分。

私がここについたのは10時くらいだったはずだ。

私は不思議に思いながらももうちょっと待ってみようと思い、また石段に座った。

すると、昼ご飯を食べていないため、空腹感が私を襲いはじめた。

仕方なく近くのコンビニに行き、おにぎりとお茶を買った。

そして、公民館の飲食していい場所に行きお昼ご飯を食べた。

そして、また外で待ってみる。

「・・・今日、もう来ないのかな。」

無意識に声が出ていた。

私は、うつむきながら立夏を待った。

もう来ないと、分かっていた。でも、日が暮れてくるまで待っていた。


午後5時になり、私は座っていた石段から立ち上がり、歩き始めた。

結局立夏は来なかった。

歩きはじめて30分、家が公民館から遠い山の近くにあるため時間がかかってしまった。

坂を上ってる最中に、一筋の涙が頬を伝った。

私は、それを袖でごしごしとふき取り、また一人、つぶやいた。

「・・・立夏・・・・約束は・・・?私、待ってたのに・・・・。」

そう言って、私は下を見ながら歩き続けた。

気づいたら家の前に立っていて、そのまま家の中に入った。


まだ、お母さんもお父さんも帰ってきていなかった。

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