空のいない世界1
8月31日親友が死んだ。
夏休み最終日のことだった。
そのことを伝えられたときは、まだ実感が湧かなかった。
病院のベッドに横たわる空を見てただ眠っているようにおもえた。
9月1日2学期の始まり。
教室に入ると、すぐに直葉が駆け寄ってきた。
直「ねぇ!花も聞いたよね!?空のこと!」
花「うん・・・。」
私は、頷くと同時につぶやく。
直「空のこと・・・。事故ってことで片付けられたけど、私は違うと思うだよね。」
花「私も・・・そう思う。」
そう。今回の空の死について、警察は事故ということで片付けた。でも、目撃者の証言によるとそうはおもえなかった。
「『空は、線路に飛んで行った折鶴を取りに行こうとして電車にひかれた』・・・というよりは『空がわざと折鶴を飛ばしてわざと電車にひかれた』というほうが正しい。」そう目撃者は言った。
そのことから、私たちは自殺ではないかと考えた。
直「あのさ。今日って午前授業でしょ?琴海も誘って空の家に行かない?」
花「そだね。一緒にいこっか^^」
そう言って、私は窓際の自分の席に座った。私の席の前は空の席だった。空の机には花瓶が置いてあった。花瓶の中には、百合が活けてあった。
ーそう、ここは空の席だったー
毎日いっしょに勉強して、遊んでいた
≪どうして死んだの?≫
私は空の机を見ながら心の中でつぶやいた。
でも、何も答えない。
私は窓の外を見た。空を見ると雲がゆっくりと流れていた。
空が死んだ昨日、私の時間は止まってしまったのに、世界は何もなかったかのように時間が進んでいた。
結局始業式の話も耳に入らなかった。
ぼーっと過ごしているうちに夕方になっていた。
放課後になってもぼーっとしていて、誰もいない教室で一人、窓の外を見ていた。
直「花?帰ろう?」
花「うん。」
私たちは、教室を後にした。