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  作者: ひよ
17/22

私がいた世界2

朝になり、瞼が自然と開いた。

私は、「また今日も同じことを繰り返すのか」、そう思い憂鬱になった。

こんななにもないつまらない日々を繰り返して何になる?

どうせなら、私が死んで凌空が生きていればよかったのだ。

凌空が生きていたなら、きっと「今日学校行くの楽しみ!行ってきまーす!」って感じなのだろう。

学校では友達に囲まれて、先生からの信頼されて、成績がいい。

完璧じゃないか。

どうして私が生きて凌空が死んだ?

この世界は、どうして幸せなものが早く消えて、不幸につまらない人生を送っているものが、最後まで消えなんだ。

ひどい話じゃないか。


私は、毎朝そんなことを考え、のそのそとベッドから出る。

ささっと学校へ行く準備をしてから、リビングへと向かった。

当然両親の姿はない。

テーブルに置いてあるメモには≪これ朝ごはん。食べ方は好みで勝手にして≫

とだけ書かれていた。

両親は共働きで、父は大学教授、母は看護師だった。

母は夕方から夜8時の間に帰ってくるが、父はいつも深夜だった。

だから、父の顔を見ることも少ない。

「はぁ、なんだこの生活」

私は小さくつぶやいた。

小さいころに描いた生活はこんなものではなかった。

両親と妹と私が毎朝毎晩一緒にご飯を食べて、リビングで仲良く笑いながら学校での出来事なんかを話して、一緒にゲームをしたり本を読んだりして、休みはいろんなところに出かけて・・・。妹とは喧嘩してもちゃんと仲直りできる、そんな生活を夢に見て描いていた。

それなのに、現実はなんともひどいものだ。


妹が死んで家族は減った。両親は帰ってくるのが遅く私はいつも一人でご飯を食べる。

母としゃべれば「そう」か「ふぅ~ん」これで終わり。父とは顔を合わせないし、話もしない。学校のことなんか喋れば「あんた、また失敗したでしょ?親にそんなこと話して喜ぶと思う?」なんて言われて、ゲームもしないし本も読まない。


描いていたものとは、まるで真逆だ。

私は、朝食を食べ終えランドセルを玄関に置いた。

そして、自分の部屋に行き外を眺める。

こんな田舎、どこに私の居場所があるのだろうか。そんなことを思った。

きっと、この家は私の居場所じゃない。そう思っていた。

凌空の居場所はたくさんある。私は、ひとつもない。

どこか、落ち着ける誰も来ない場所に行って、静かに暮らしたい。


私は時計をみてはっと我に返り、下に降りてランドセルをしょった。

そして、後ろを振り返り

「行ってきます」

そう呟いて家を出た。

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