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  作者: ひよ
16/22

私がいた世界1

これは、私がまだ小学3年生の頃の話。

いつも目立たなくて、地味で暗い協調性のない子供の話。


小3の6月に、妹が死んだ。事故って、お母さんが言っていて、一生分泣いたかもってくらい泣いた。それからだった、母がとげとげしくなったのは。

毎日毎日学校から家を行き来する。

何も変わらない毎日。変わったことは、家が静かになったのと、凌空がいないことだけ。


両親を元気づける言葉をかけることができない自分が嫌いだ。どう言えばいい?どう言えば、元気になってくれる?

ずっとこんなことばっかり考えて、勉強にも集中できなかった。

でも、凌空のように何でもできる母自慢の娘になりたくて、たくさん勉強した。

「はぁ、今回も低い点数。42点か。全然だめじゃない」

一回も、良い結果は出なかったけど。

テスト用紙片手に、通学路を歩きながら言った。

「これは、また叱られるなぁ。」

なんて、そんなことを口にしながら歩いていた。そして微笑する。

家について玄関に入る。

「ただいま」なんて、返してくれる人もいなくて、でも毎日言っていた。

母は、6時くらいに帰ってきて、私はテスト用紙を見せた。

「また40点台?はぁ・・・。本当に勉強してる?空は1年生から40点台から抜けたことなかったよね?凌空はできたのに」


その言葉が心に突き刺さる。

「凌空はできたのに」

そう、凌空は何でもできた。

どうして私は何もできないの?同じ姉妹で、私の方がお姉ちゃんなのに。

私は、テスト用紙をお母さんから強制的に奪って、急いで2階の自分の部屋に行った。そうやって階段を上がる最中にも、母のため息は聞こえた。


バタンッ!!


勢いよくドアが閉まった。

はぁはぁと、息が荒くなった。手には、くしゃくしゃになったテストが。

それを、もっと強く握る。

「私だって、頑張ってる・・・!!きっと、凌空よりずっとずっと頑張ってる!!!だから、私は、褒められるんだよ、普通は!」

そう言って、自分を自分で慰める。

落ち着いてから、バカみたいと自分で思って日記を書く。

それが私の日課だった。日記は書かない日の方が多いけど。

それでも、なんでだか書く。


午後10時ごろ

私はベッドにもぐりこんだ。

電気も消してまっっくらな部屋に一人。毎日のように考えることがあった。

(凌空は、今の私をどう見ているんだろう。)

嘲笑っているのか。

それとも、ごめんねと謝っているのか

そもそも、私のことなんて見てないのか

「凌空ばっかりできて、どうして・・・。どうして私にはできないの?」

そうやって眠りにつく



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