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空~プロローグ~
ある町に一人の少女がいた
少女は歩いていた
少女は折鶴を持っていた
少女は踏切の前で立ち止まった
遮断機が下りる
少女は折鶴を線路に向かって投げる
少女は折鶴を取りに行く
遮断機をくぐりゆっくりと
少女に向かって電車が走る
少女はしゃがんで折鶴をつかむ
少女と電車との距離が2メートルになる
少女は電車を見る
少女と電車の距離が0になる
少女は微笑んだ
少女は電車にひかれた
線路が赤く染まる
8月31日 夏休み最終日のことだった
少女の名は
空