=ロストワールド=
「どうだ?」
「半径100mには自分達を除いて生体反応なし、稼動している《ガード》も無いようだ」
「そうか、じゃあ少し進むか」
「りょーかい」
暦は2165年 30年ほど前の核戦争によってばら撒かれた放射能汚染によって
その殆どが人間の住めない環境になっている
人間はシェルターに篭り、
今現在地上で活動しているのは放射能やらの影響で変異したミュータントと
核爆発で引き起こされた電磁パルスで誤作動している総合管理AIの動かす《ガード》と呼ばれる機械群のみだ
どちらも基本的に人間を狙ってくる
ミュータントは総じて五感が高く、シェルターから出て数分も歩けば出てきて襲ってくるし
殆どの機械はAIに依存しているので下手に使うとガードがやってきてミンチだ。
そのためシェルターでは最初から設置されている機器の殆どを使用不可にし
博物館にしかないような年代ものの発電機やらを使っている
外に出て1時間も経っただろうか今回の任務対象であるミュータント
大きさは人の腰ぐらいまではあるだろうそいつの名前はバイト・ラビットだ。
でも、兎というのは名前だけで完全な肉食だが
強さとしたら探索者の卵が最初に討伐するものでそこまで強くは無い
・・・だが、それはあくまで単体の時の話でこいつらは集まる習性があり
大きさによっては熟練の奴でも苦戦することがある、そんなのがが30匹近く集まっている
少しずつ近づいてくる、流石にあの数は分が悪い
しかし下手に動けば気づかれる可能性がある でもあの数を一度に相手にするのはキツイ――
そんな時、近くの廃棄物の山にある機械を見つけた
よく見ると警備用ロボットだったようだ。これが使えれば・・!
「そこの停止してるガードのOSを書き換えて再起動できるか」
「はん、俺を誰だと思っている?数分待ってくれ」
そう言うと目の前にある《ガード》に腕部に装着した"テーブル"といわれる端末を使って
システムを解析し、さらに操作権限をAIから端末に変更する
そうしないで動かすと今度は兎の代わりにこいつにミュータントもろとも粛清!されかねない
「あいつらこっちに気づきそうだ。早くしてくれよ、ばれたら腹を空かせた奴らは待っちゃくれん」
「わーってるって、よし完了っと」
コマンドを打ち終えるとセーフモードから復旧した《ガード》が立ち上がる
その音に兎が気づいた様だがもう遅い
「突っ込むからそのロボットで援護しろ!」
「うい、あと壁代わりにもするからあんまり前に出るなよー」
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10分後、討伐した約30のバイト・ラビットの素材を剥いで警備ロボットに乗せる
皮は服などの素材にもなるし、肉は貴重な食料だ
それにAIからの管理から外れた《ガード》は何にでも使えるのでとても重宝される
探索者はこれを売って代わりに日々の糧にする
「今日も生き残れたが今回みたいのがまたあったら次は生き残れるか分からんな」
「そんなことは良いじゃないですか 今日を生き残れた、今はそれを噛み締めとけば良いんですよ」
「・・・それもそうか。」
"探索者"―――彼らの戦いは地上を人類に取り戻すまで続く
風呂に入ってたらネタが空から降りてきたのでちょちょっとやった
*時々気分転換がてらに短編ものを出します
気が向いたらシリーズものになるかも