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堕天の翼 〜僕は堕ちた天使の最弱転生体でした〜  作者: みし


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1/9

0→1:帰りたい場所

ファンタジーに初挑戦してみます。お読みいただけると嬉しです。

0:黒い翼


 もうダメだ……!

 

 終わりを覚悟した深帰人(みきひと)は目を閉じた。

 

 ……。

 

 …………。


 ……………………。


 何も起こらない?


 深帰人はゆっくりと目を開ける。


 展開されていたのは、黒く大きな翼だった。

 

 いや、「黒く大きな」という表現では不十分で不適切だ。


 深帰人の前に広げられたそれは、まるでブラックホールのように、光すら吸い込みそうな漆黒の、巨大な一枚の翼だった。

 



1:帰りたい場所


 明日のテストのことを考えると、手が震える。

 

 悠木深帰人は自分の部屋の勉強机に向かいながら、教科書と几帳面に取ったノートを片手に、問題集に取り組んでいた。

 

 時間は深夜二時を過ぎている。


 明日のテストのことを考えれば、もう寝たほうが良いのだろう。けれども、どれだけ勉強しても不安で仕方なかった。


 今までテストで赤点を取ったことも、クラス順位で十位以降を下回ったこともない。

 

 でも不安なのだ。


 きっとどれだけ勉強しようともこの不安が解消されることはないだろう。それはこれまでの体験からわかっている。わかっていても寝ようという決心ができない。


 もはや病気だ……。そう思いながら、深帰人は問題集に向き合う他なかった。


 

 ここはどこだ……?

 

 気づくと深帰人は、奇妙な空間にいた。

 

 この十五年と少しの人生の中で、こんな場所に訪れた経験はない。


 だが深帰人は思う。自分はこの場所を知っている、と。


 懐かしい……満たされているという感覚がある。

 

 心洗われる清らかな空気。黄金色に輝く草原。遠くにそびえ立つ神々しい白亜の宮殿。

 

 何よりもそこは光に溢れていた。

 

 湧き上がってくる圧倒的な感情を、深帰人は自覚しないわけにはいかなかった。


 ……帰りたい、と。



「はっ!」

 

 声を上げた深帰人は、我に返る。今いるのが、自室の勉強机であることを、認識するまで数秒を要した。窓の外から、朝日が差し込んでいる。

 

 いつの間にか眠っていたらしい。夢を見ていのだ、と悟る。

 

 それにしても……今見た夢は、いつも見るような不安に駆られる悪夢とは違った。

 

 妙なリアリティが深帰人の胸に残っている。いったい、あの場所がどこなのか、本当に知らないのか、思い返そうとする。だが、どうしても答えを見つけることはできなかった。


「深帰人―、あんた、そろそろ用意しなくて大丈夫なの?」


 ドアの外から、母親の声がした。


 時計を見ると、学校が始まる二時間前だった。


 普通の生徒なら二度寝をかます余裕があるだろう。だが、深帰人にとっては、登校の準備をおこなう時間帯だった。


 学校に着くのは基本的にホームルームの一時間前だ。

 

 いつ交通渋滞が起こって遅刻するかわからない。学校に遅刻すれば、授業を聞き逃してしまう。そこから自分の転落人生が始まるかもしれない。


 そんな恐怖に駆られながら、深帰人は慌てて鞄へノートを詰め込むのだ。


拙い物語をお読みいただき、ありがとうございました。


もしよろしければ、応援いただけますと幸いです。


少しでも価値を感じていただけたら、

リアクションをいただけると、

続きを書くモチベーションになります。


どうぞよろしくお願いいたします。

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