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第80話「配達」
12月4日 木曜日 午前10時
ピンポーン――
インターホンが鳴った。
凛はすぐにドアを開けた。ドアチェーンを外す。「ガチャ」という音。
配達員が立っていた。
「佐々木様ですね」
「はい」
「こちら、お届けものです」
小さな封筒。フロッピーディスク。marie_1985からの荷物。
凛はそれを受け取った。
「ありがとうございました」
配達員が去っていく。階段を降りる足音が遠ざかる。
凛は封筒をじっと見つめた。
軽い。100グラムくらい。
でもその中には重要な情報が入っているはず。
柳沢正臣の研究データ。実験の詳細。そして、記録を止める方法。
美波が隣に来た。
「開ける?」
「うん」
凛は封筒を開けた。「ビリッ」という紙の音。
中には3.5インチフロッピーディスク。1枚。
黒いプラスチック。四角い形。懐かしい形状。
ラベルには「PROJECT MNEMOSYNE - DATA073」と書かれていた。
「これ……」
美波が呟いた。
「どうやって読み込む? フロッピーディスクドライブ、持ってないよ」
凛もそれに気づいた。
現代のパソコン。フロッピーディスクドライブはもうついていない。
「大学に――」
美波が言った。
「古いパソコンあるかも。情報工学科の資料室」
「行こう」
二人はすぐに大学に向かった。




