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ムネモシュネの箱 ― 73Hzの永遠 ―  作者: 大西さん
第三章「侵食の始まり」
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第79話「夜の幻聴」

午後11時。


凛はベッドに横になった。美波はソファで休んでいる。


部屋の明かりを消す。暗闇。静寂。


でも――完全な静寂ではない。


耳の奥で何か聞こえる。


低い音。


ブーーーーーン……


73Hz。


また始まった。


「また……」


凛が呟いた。


美波がすぐに起きた。「ガバッ」という音。


「凛?」


「また聞こえる……」


「逆位相音、流すね」


美波はノートパソコンを開いた。画面の光が暗闇を切り裂く。


スピーカーから逆位相音が流れ始める。


でも、音は完全には消えない。小さくなるが、まだ残っている。


「効果が弱くなってる……なぜ?」


美波が焦った。


「たぶん――」


凛が答えた。


「記録が進行してるから。VHSを見た影響が時間と共に強くなってる」


美波はすぐに調整を始めた。逆位相音の周波数、振幅、位相。


すべてを微調整していく。キーボードを叩く音。「カタカタカタ」という焦りの音。


30分後。ようやく音が消えた。


「これで、どう?」


「うん……消えた……」


凛が答えた。でも疲れ切った声だった。


「ごめんね、凛」


美波が申し訳なさそうに言った。


「私の技術じゃ、完全には防げない……」


「ううん」


凛が首を振った。


「美波のおかげで、ここまでもってる。ありがとう」


美波は複雑な表情をした。


逆位相音はあくまで対症療法。根本的な解決じゃない。時間稼ぎに過ぎない。


「早く――」


美波が呟いた。


「フロッピーディスクを解析しないと。そこに答えがあるかもしれない」

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