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第64話「これからのこと」
午後11時。
二人はソファに座っていた。お茶を飲みながら。温かい緑茶。湯気が立ち上る。
「これから、どうする?」
美波が聞いた。
「どうするって?」
「逆位相音はできた。でも、それだけじゃ足りない」
美波が真剣な顔で言った。
「フリマアプリには、まだたくさんの記録メディアが出品されてる。そして、毎日誰かが買ってる。記録されてる」
美波がスマートフォンを見せる。marie_1985のページ。評価73件。
「このままじゃ、どんどん広がっていく」
凛もそれは分かっていた。
自分だけ助かっても意味がない。他の人たちも助けなければ。
「でも――」
凛が言った。
「私たちに何ができる?」
美波がしばらく考えて、そして言った。
「調査」
「調査?」
「うん。柳沢正臣の研究をもっと詳しく調べる。実験の詳細。記録のメカニズム。そして――止める方法」
美波が指を立てる。
「逆位相音は、あくまで対症療法。根本的な解決にはならない。本当に止めるには、記録そのものを消去する方法が必要」
凛は頷いた。
「そうだね。じゃあ、明日から調べよう。柳沢正臣の論文。実験記録。すべて」
美波が微笑んだ。
「うん。一緒に戦おう。この記録と」
二人は拳を合わせた。
「タン」という音。
友情の証として。そして、戦いの誓いとして。




