第128話「第二回同期」
12月16日 月曜日 午後8時。
再び母の家。田中教授も来ている。
「凛さん」田中教授が言った。「前回の副作用はどうでしたか?」
「頭痛と吐き気が少しありました。でも一日で治りました」
「良かった。では今回も同じ手順で」
凛は心拍数を測った。72回/分。前回と同じ。徐々に73に近づいている。
午後9時。鎮静剤投与。
「100……99……98……」
凛の意識が遠のいていく。もう慣れた。怖くない。
暗闇が包み込む。そして静寂。
午後10時15分。第二回同期の時刻。
街では再び集団が出現した。でも前回よりさらに少ない。なぜなら第一回の同期に失敗したことで、記録が徐々に弱まっているから。
美波がニュースを見ている。
「続報:集団現象、さらに小規模化
16日夜の集団現象は前回13日よりさらに規模が縮小。出現人数は推定で前回の半分以下。警察は『収束に向かっている』との見方」
香織が窓の外を見た。「記録が弱まってる……あと1回……あと1回防げば完全に消える……」
午後11時。覚醒誘導剤投与。
凛の瞼が動く。目が開く。
「う……」
「お帰り、凛」美波が微笑んだ。
凛は起き上がった。今回は副作用が軽い。頭痛も前ほどではない。
心拍数を測る。68回/分。正常。
「成功……」凛が呟いた。「あと1回……」
「そう」香織が言った。「12月19日。最後の同期」
凛は決意を新たにした。「絶対に防ぐ」




