第99話「母からの警告」
「他の都市も見てみよう」美波が検索した。
大阪、名古屋、福岡、札幌――すべての主要都市で同じような集会が予定されていた。
すべて12月10日。すべて午後7時3分。すべて73の倍数の参加者。
「全国で少なくとも5,000人以上が集まる予定……」美波が計算した。
「そして」凛が気づいた。「12月10日ってあと4日後……私が5つのメディアを揃えるその次の日……」
二人は顔を見合わせた。
偶然? いや、偶然じゃない。
何かが計画されている。5つのメディアを揃えた者たちが12月10日に集まる。そして何かが起こる。
「凛」美波が真剣な顔で言った。「私たちも12月9日までに5つ揃えないと。そして10日の集会の前に上書き消去を完了させる。じゃないと手遅れになるかもしれない」
凛は頷いた。「タイムリミット、12月10日……あと4日……」
午後9時。
凛のスマートフォンにメールが届いた。
差出人:母件名:大切な話
凛はメールを開いた。画面の明かりが顔を照らす。
『凛へ
元気にしてる? 最近ニュースで変なことが起きてるわね。全国で白い服を着た人たちが集まってるって。
あれは柳沢正臣の記録の影響よ。私は知ってる。25年前、その研究に関わっていたから。
凛、あなた、もしかして記録を見た? VHSテープを?
もし見たなら、すぐに連絡してほしい。まだ助かる方法があるかもしれない。
でも5つすべてを見たら、もう手遅れ。
だから、お願い。これ以上見ないで。すぐに私のところに来て。一緒に考えよう。
愛してる。
母より』
凛はメールを読み終えた。そして美波に見せた。
「お母さん、知ってるんだ……そして5つ見たら手遅れって……」
美波が複雑な表情をした。「でもフロッピーディスクには5つ揃えれば上書き消去できるって書いてあった……どっちが本当?」
凛は分からなかった。母の言葉を信じるべきか。それとも柳沢正臣の記録を信じるべきか。
「お母さんに電話してみる」
凛は母に電話をかけた。
プルルルル……コール音。一回、二回、三回。
「もしもし」母の声。少し疲れた声。
「お母さん」
「凛!」母の声が明るくなった。「メール見た?」
「うん。それで……」母の声が震えた。「あなた、見たの? VHSテープを?」
凛は正直に答えた。「うん……見た……」
母が深くため息をついた。「そう……やっぱり……」
「でも」凛が続けた。「逆位相音で影響を抑えてる。そして5つ集めて上書き消去する予定。そうすれば元に戻れるって、フロッピーディスクに書いてあった」
母が長い沈黙の後、言った。
「凛、それは罠よ」




