2話 かくして僕は私になった
目が覚めたら、体が縮んでしまっていた!
どころの騒ぎじゃない!
体は幼女、世界はファンタジーだ。
自然豊かな草原が広がる田舎の村「シルウァ」。
特殊な木材によって建てられた、とある一軒家の2階。
最近ようやく与えられた自室にて、私は現状を呑み込みきれずにいた。
10才になった今日、私は自分が天音ヒナタであり、前世とはまったく別の世界に転生したのだと自覚したのだ。
きっかけは何だったっけ?
今朝、母親のアリーシャがイタズラをした私に「あらあら、駄目ですよシャロン。」と微笑みながらチョップを下した時?
それとも、幼馴染みのミーシャが手に握っていた小槌を滑らせ、私の頭にクリーンヒットした時かな?
細かなタイミングは上手く思い出せないな。
というか、私今日頭にダメージ受け過ぎじゃない…?
まぁいっか。
とにかく今日、私は自身が「天音ヒナタ」であり、同時に「シャロン」という名の少女でもあると自覚した。
ブロンドのストレートな髪、ぱっちりとしたまつ毛、天色の瞳。
スラリとしたな体躯は、自分でも守ってあげたくなるほどに華奢だ。
前世で散々「女みたい」 と言われ続けたが、「みたい」どころか本当に女性になってしまった。
さて!
時間が経つに連れ感情も落ち着いてきた。
前世での顛末もハッキリと覚えている。
では、次はこの世界に関する情報だ。
私が知ってることは………私?
「私って、一人称私だったか!?」
無自覚。
前世では確かに「僕」だったはずだ。
しかし、今では「私」の方が遥かにしっくりとくる。
思えば、転生して既に10年経つのだ。
赤ん坊の頃も含まれるとはいえ、10年もすればそちらに慣れてくるのだろう。
性格も前より明るくなった気がする。
というより、前世で引っ掛かっていた違和感、頭の中の霧が晴れ、器と中身がピタッとハマった感覚だ。
視界もクリアだし、なんだか心と体の調子が良い。
ふと、尿意を催してきた。
一度トイレに行って、考えを纏めよ。
そう思った矢先、とある事に気がついた。
(私って、どうやってトイレしてた……?)
頭を大きく抱える。
前世でのやり方なら覚えている。
いや、今のやり方を覚えてないわけじゃないけど。
一人称と同じで、意識する事なく自然と行っていたわけで、トイレの感覚なんて、誰も考えないだろう。
なぜなら比較対象がないのだから。
しかし、ここに今例外が一人生まれた。
(ええい!なんでトイレするだけなのにソワソワしてる!)
意を決して(?)トイレへと向かう。
別にトイレするだけなんだし、なんてことはないはず。
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「………。………//……。」
結論から言って、あまりに不思議な感覚だった。
体の途中から出てしまっているような……いやこれ以上はやめておこう。
違和感が無くなったはずのこの体だが、慣れるまでには時間が掛かりそうだ。




