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15話 男部屋

各々が割り振られた部屋へと去っていく中、教官に声をかけられた。


「ところで、寮の部屋は男共と別けてもいいが、どうする?」


「あ、気にしないで下さい。女ですけど、私も他の人達と同じ様に扱ってもらえると。」


元は男だしねぇ。

今回に限った話ではなく、この世界の男性は女性に対してやたらと紳士的である。

とはいえ、私一人だけ特別待遇なんてのはまっぴらごめんだ。


「ガァハッハッハ!いい根性だ。ではその様にしよう。だがまぁ、流石に風呂の時間はズラすぞ。君にその気がなくとも、男所帯には毒だからな。」


「それで大丈夫です。排泄も魔具で済ませますから。………ところでザッパ教官。」


「厶?」


言いながら、私は刀の柄に手を添える。


「軽く、手合わせお願いできませんか?」


満面の笑顔でお誘いした。











「いや〜、負けた負けた。」


ギルド内に設けられた部屋へと向かう道中、私は先程の一戦を振り返っていた。


「バケモンでしょ、あの人。」


結果は完敗。

手も足も出ず、ザッパ教官に遊ばれただけであった。


こちらの攻撃は全て読まれるのに、あちらの攻撃は一切読めない。

その上、基礎的な能力もハイレベルときた。


無策ではまず勝てないと思う。

正直、これだけ突破口が見えない相手は初めてである。


ひとまず、攻略の為の仮説を立ててみよう。

そう思い、思考の海へと沈む。


「私の動きにクセがあるとか……?所詮は我流のなんちゃって剣術だしな……。いや、眼の魔力を体に巡らすまでのタイムラグ?……まずは崩しのパターンから見つめ直して……。」


あー楽しい。


手の届かない強者、無数のライバル達、戦いに特化した環境。 

これらを使って少しずつでも、明日の私は今日より強くなろう。


「ん、ここかな」


そうこうしている内に、指定された部屋の前に着いた。

『Dー50』これからお世話になる部屋番である。


ドアノブに手をかけ、トビラを開いて中へ入るとーーーー


「「よっしゃぁぁぁ!!!!!」」


大音声の叫び声が耳に響いた。


部屋の中にいたのは3人。

見知らぬ中年男性2人と、カニス君である。


「えっと……。」


戸惑う私の元へ男性2人が駆け寄ってきた。


「あんた!やっぱ冒険者志望なんだな!」


「ささ!中に入ってくれ!掃除はしておいたから!」


用意された部屋は、簡素だが清潔な状態であった。


広めのワンルームに二段ベッドが二つ。

丸いテーブルと椅子もあり、談笑用のスペースが設けられている。


男性2人に案内された私は奥の椅子へと座る。

隣にはカニス君が座っており、男性2人も着席した。


「カニス君が同室で嬉しいよ。改めて、よろしくね。」


「!?……………ッス……。」


「どったの?顔が赤いけど、熱出たとか?」


「何でもねぇッス!ほんと……何でも……。」


やっぱ体調悪いのかな。

口元を手で押さえてるし、何かを堪えてそうだ。


私とカニス君が話していると、男性たちが声を荒げた。


「テメェズリぃぞ!やっぱその子と知り合いだったのかよ!」


「そいつ、アンタと同室になれるかってずっとソワソワしてたんだよ。」


「ソワソワ?」


「部屋の中をやたらと歩き回ったり、頻繁に外を覗いたりしてな。」


「つっても、あの会場にいた奴らは全員、アンタと同室になりたがってたから……。」


「「つまり!俺等は勝ち組ってワケだ!!」」


息ピッタリの2人。

共に肩を組み、既に仲が良さそうである。


というか、考えてみればそうか。

男所帯に女が入れば、男性視点はドキドキするものだろう。

私的にはただ部屋が同じってだけなので、そこまで考えてはいなかった。


ふむ。

男女で部屋が一緒。

しかも、私とカニス君は年も近いと。


ふと、悪魔的なイタズラが脳裏をよぎった。


「ねぇねぇ、カニス君。」


「………どうしたんスか、シャロンの姉御…!?」


私は席を立ち、カニス君へ急接近。 

豊満に育った胸をカニス君の背中に軽く当てる。


口を耳元へ近づけ、甘い声で囁いた。


「ど・う・し・つ・だね♡」


「……ッ!?……!?」


ノックアウト。

私としてはキツいかなと思ったが、効果は絶大だった様子。


しかし、背筋がくすぐったいなこれ。

思いつきでやってみたけど、もうやらないでおこう…。










「へぇ〜、ダンさんとオロイさんは同じ国から来たんだ。」


「一緒に冒険者を目指すなんて、仲いいんスね。」


「おうよ。昔っからの付き合いでな、二人で色んな仕事をしたってもんよ。」


「冒険者の試験は一度落ちたけど、やっぱり諦め切れなくてな。」


顎髭を蓄えたダンさんと、ふくよかな体型のオロイさん。

陽気な性格のルームメイト達に、会話は自然と弾んだ。


しかし突然、ダンさんとオロイさんが神妙な面持ちになった。


「ところで、男性陣よ…。」


「あぁ、そうだな……。」


「なんスか?」


真面目な話っぽい。

気を利かせて席を立とうとしたが、ダンさんに引き留められた。


「シャロンちゃんは居てくれ。いや、むしろ君に決めて欲しい。」


決める?何を?

疑問に思っていると、二人はバンッと勢い良く席を立った。


「「この中の誰が!!シャロンちゃんと一緒の二段ベッドで寝るかだ!!!」」


そんなコトかよ!

一緒のベットっていっても、二段に分かれてるんだから気にしなくても……。


「誰でもいいでしょ。ねぇ、カニス君。」


「任せてください。姉御のベッドはジブンが守るッス。」


駄目だこりゃ。

目がギンギンで私の声が届いていない。


一方で、ダンさんとオロイさんがハイテンションで迫ってくる。


「さぁ誰にする!シャロンちゃん!」


「決めてくれ!いっそひと思いに!」


えー。

どうしよう…ホントに誰でも…あ、そうだ。


「じゃあ、今夜だけでも誰かご飯を奢ってくれない?…その人とってコトで。」


丁度、生活費に悩んでいた所だ。

流石に毎日は気が引けるが、今日だけでも食費を気にせずご飯を食べたい。


そう思い、提案したのだがーーー


「「「毎日でも奢らせてくれ!!!」」」


結局、私以外はベッドをローテーションするコトになった。

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