表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

14話 マッスル説明会

通された先は石造りの大広間。

室内競技場ほどの広い空間に、男の挨拶がこだまする。


「諸君!おはマッスル!今日もナイスなバルクを目指して精進し給え!」


「「「…………………」」」


筋骨隆々な体躯にスキンヘッド。

鋭い視線で一同を捉えるこの男こそ、先程話に出ていた「教官」だろう。


「元気が足りんぞ!おはマッスル!!!」


「「「………おはマッスル!!!」」」


「声がデカいわ!バカ者共!!」


((えー……))


開幕から自由すぎる男の言動に、一同ドン引き。

しかし、当の本人はそんなもの意に介さないといった様子で、話し始めた。


「俺の名はザッパだ、冒険者見習いの育成を任されている。気軽にザッパ教官と呼んでくれていいぞ、呼び捨てにしたら殺すがな!ガァッハッハ!えー……それでは試験の説明を始める。」


情緒が掴めな過ぎて怖ぇぇ。

冗談を言ってるのか本心で言ってるのか、いや本心で言ってそうだなこれ。


集められた者はざっと見ただけでも200人以上。

その半数が、教官の支離滅裂な言動に戸惑っていた。


では、もう半数はというと。


「おい、あいつ女だぞ…。」


「どうして女がここに…?」


「めちゃくちゃ美人だな……。」


「バカ、さっきヴィル様が話してただろ…。戦えるんだとよ…。」


「あの子の近く、いい匂いした…。」


ヒソヒソとした話し声が聞こえてくる。

話題はやはり私である。

いや、約1名キモくなかったか?


注目を集めてしまうのは仕方ないが、全身に視線が刺さりくすぐったい。

教官の説明聞きいてなさいよ。これだから男は。


前世の自分は棚に上げ、私は周囲の男達に向けてため息をついた。

とはいえ、こればかりは慣れるしかないのだろう。

強くなって実力者だと周囲に認知されれば、あからさまな視線を送ってくるものも減る……ハズだ。


それより今は試験である。

確かウンベールの話だと、合格まで3ヶ月程は掛かるとか。


「この部屋に入った際、諸君らには魔法を仕掛けさせて貰った。各々、右手に魔力を込め給え。」


「おお!なんだこれ!」


「手の甲から数字が浮かんできたぞ!」


「その数字、ポイントを初期値である『0』から規定値に上げるのが試験合格の条件だ。」


言われて魔力を右手に集める。

手の甲から数字が…数字…あれ、出ない。

辺りを見回しても、数字が浮かばないのは私だけのようだ。


「あのー、何も出てこないんですけど…。」


「む、あぁ確か君はギルドマスターが言ってた子だな。魔力ゼロというワケでもないはずだが……仕方ない、俺の使い魔を貸してやろう。名前は『ハンゾウ』こいつが君のポイントを管理してくれる。」


めちゃくちゃ話し通じるじゃん教官!

ってかギルドマスターって……?


疑問に思った次の瞬間、教官の影から使い魔の黒猫が現れた。

黒猫は教官の元から私の影の中へとスルリと移動する。

何やら和風な名前が気になるが、ひとまずそこは黙っておこう。


「では次に、ポイントを増やす方法だが、これは大きく分けて二つある。『ギルド地下のダンジョンにて魔物を討伐する』または『闘技場にて他の冒険者見習いとポイントを奪い合う』だな。」


ここの地下にダンジョンがあるのか。

あまりに設備が整いすぎてるなギルド。


「ダンジョンは全十階層の地下構造だ。下の階層へ進むほど魔物は強力になるが、その分得られるポイントは大きい。

 パーティー人数は連携を取れる上限の五人まで。ただし!最下層の十階層のみ人数の上限は設けない。ここにいる全員で挑んでもいいぞ?過半数は死ぬがな!ガァッハッハ!」


大笑いが広間に響く。

ひとしきり笑った後、教官はまたスンと落ち着いた表情に戻った。


「闘技場では各々好きに戦ってくれたまえ。双方が納得の上なら死合でも構わない。だが、審判はギルド側から出すため、ポイントの八百長は出来ないからな。当然、闘技場では戦わずダンジョンのみに専念するのも自由だ。」


なるほど。

ダンジョンでは背中を預ける仲間であり、闘技場では競い合うライバルでもあると。

いかにも冒険者らしいルールである。


説明し終えた教官は「最後に!」と付け加えた。


「気になるポイントの規定値だが、昔は五万ポイントが条件だった。しかし!知っての通り昨今は人材強化の為、二十万ポイントが規定ラインだ!おおよそ一年は掛かるな!」


はぁ!?一年!?

そんなに掛かるって聞いてないぞウンベール!


私が持っている滞在費は3ヶ月を目安にしたものだ。

一年なんてとてもじゃないが保たない!


「詳しい事は、各々割り振られた寮棟の部屋にて確認せよ!以上!解ァ散!」


お金…どうしよ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ