13話 ギルド
「やっと着いた……。おぉ、かなりの人だかりだね。全員冒険者志望なのかな。」
「そのはずッス。今は新規冒険者の受付時間ッスから。」
ギルドエリアを歩き続けて数十分。
ようやく目的地に辿り着いた。
想定よりも時間が掛かってしまったのには理由がある。
この街は広い上に似た建物が多いのだ。
西洋ファンタジーの様な街並みと言えば聞こえはいいが、道に慣れるまで苦労しそうである。
「ギルドって聞いて仰々しい外観を想像してたけど、意外とそうでもないんだね。」
「確かに、他の建物と変わんねぇッスね。」
お目当てのギルドはなんというか、妙にこじんまりとしていた。
極端に小さくはないのだが、もっとこう…ね。
機能性重視ってやつなのかな。
それならそれでかっこいいけど。
「とりあえず、間に合って良かったよ。中に入ろっか。」
「ッスね。」
カニス君と共にギルドの中へと入る。
驚くべきコトに、木製の扉を開いた先には、建物の何倍もの領域が広がっていた。
豪華ホテルのエントランスの様な広々とした空間に、人々がごった返している。
「は!こんなに広かったっけ!?」
「魔法…ッスかね?いやこの規模ならスキルの可能性も…。」
まじか。
空間を拡張させるとかどんなスキルなんだ。
こういうのを見ると、ファンタジーな世界に転生したんだって改めて実感するよホント。
「えーっとぉ、受け付けはあの人達かな。すみませーん!」
鎧を着用したいかにも熟練っぽい男達へ話しかけた。
「あぁ、新規冒険者の申し込みだな。じきに教官が来られるからそれまで待機を……って女!?」
「はい、女です。ここで待ってればいいんですね。」
「何をふざけた事言ってる!女が冒険者になれるワケないだろう!さっさと家へ帰れ!」
怒鳴られてしまった。
仕方ない。カニス君、作戦決行だ。
「まぁまぁ、ここはジブンの顔に免じてッスね。」
「誰だ!貴様なぞ知らん!」
「ショック!」
やっぱりこうなるか。
予想はしてたけど、さてどうしよう。
「シャロンの姉御…ジブンただ傷ついただけッス…。」
「『ジブンはかなり名が通ってるッス!』とか言うからでしょ。まぁ、可哀想だけど。」
「何をこそこそと話してる!さっさと」
「すまない、少しいいかい。」
悩んでいた所、一人の青年が近づいてきた。
「あ、貴方は、ヴィル様!」
受け付けの男性達がたじろぐ。
ヴィルって……広場にいたイケメンか!
「そこの女性にも、新規冒険者の試験を受けさせてもらえないだろうか。」
「いやしかしですね…。」
「ここに来る途中、彼女が正規の冒険者を圧倒する姿を見た。ここは僕の顔に免じて許可して頂きたい。実力者が増えるのは、ギルドとしても喜ばしいはずだろう。」
「『次代の英雄』がそう仰るなら…。」
「感謝する。」
ギルドエリアに入った際の一連の出来事を見られてたのか。
受け付けの男性達は、コトを共有する為に裏へと下がっていった。
あ、カニス君が更に項垂れている。可哀想に。
まぁそれはともかく、お陰様で何とかなりそうだ。
「ありがとう、正直助かった。」
「礼には及ばないさ。君が強者なのは事実だしな。」
「強者なんかじゃ無いよ。強くなる為に冒険者になるんだから。」
「……………」
沈黙。
ヴィルと呼ばれた青年は、黙ったまま私の顔を見ている。
「な、なに。私変なコト言った?」
「いや、気にしないでくれ。君とは一度ゆっくり話したいが、それはまた今度でもいいだろう。そろそろ時間だ。互いに頑張ろう。」
そう言って、ヴィルは去っていった。
「静粛に!教官がお見えになった!新規冒険者に志願するものは、奥の部屋へと進め!」




