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9話 旅立ち

「「それじゃあ行ってきます!」」


両親や村の住人達へ手を振りながら、私とミーシャは故郷に別れを告げた。


初めてウンベールに一撃を与えた日から5年。

17歳になった私は、ミーシャと共に村の外へ旅立つ。 


人里から遠く離れ、道中の森へ足を踏み入れた。

色々と危険な目に遭ったこの森だが、今の私にとっては庭の一部でしかない。

私という護衛がいるからか、ミーシャも安心した様子。払拭できないトラウマもあるだろうが、軽快な足取りで鼻歌を歌うその姿は、まるで自由を得たお姫様の様だ。


「楽しみだねぇ〜!中央都市!」


「歩きだとあと5日はかかるけどね。おんぶして走ろうか?」


「それじゃあ旅の趣が無いでしょ!こういうのは雰囲気が大事なの!」


怒られてしまった。

良い修行になると思ったんだけどなー。

古来から重いモノを背負って鍛えるのはテッパンの……。


「今、失礼なコト考えたでしょ?」


「イ、イエ…ソンナコト…」


じっと見つめてくるミーシャから視線を逸らす。

危ない危ない。これから長い時間を共にするというのに、開始早々に溝が生まれるところだった。


女性だけの二人旅。

魔物がいるこの世界ではまずあり得ない行為である。男性が一人もいない遠征など、傍から見れば頭がおかしいか自殺願望者だ。

そんな無鉄砲ガール二人で目指す先は〈中央都市カラバ〉。この世界の要とも呼ばれている、各地から多くの人々が集まる主要都市である。


そこにある〈ギルド〉という組織に所属すると、まずは冒険者の見習いになれるらしい。そして、冒険者者見習いとして訓練を重ねるとコトで、正式な冒険者の資格を得られるという話だ。

まるでRPGゲームの様だが、おそらく転移者の誰かが設立に関わっていたのだろう。


因みに何故ミーシャも一緒かというと、彼女は〈学園〉に入学するからだ。〈学園〉は〈ギルド〉と双璧をなす組織で、こちらも中央都市に存在する。所属するのは女性のみであり、創造魔法や魔力を絡ませた科学について学べるらしい。


冒険者である男性が土地を開拓し、安全になった土地で女性が文化を発展させる。それがこの世界の男女の基本的な在り方だ。


「まぁ先は長いし、のんびり行こうか」


大きく伸びをしながらミーシャに言うと、今度は胸元をじっと見つめてくる。


「ジーーー」


「な、なに。どうしたの?」


「いーや!やっぱり世の中は不平等だなって思ってさぁ〜。」


自分の胸と私の胸を交互に見るミーシャ。

私は反射的に自身の胸を両手で覆った。

恥ずかしさを抑えながら、何とか狼狽えずに答える。


「キツく締めないといけないし、邪魔なだけだよ。こんなの。」


「シャロン…それウチ以外の女の子に絶対言っちゃダメだからね…。」


実際、同年代と比べても発育は良い方だった。

身長も男性程ではないが女性にしては高い。セミロングの金髪にキリッとしたツリ目。

黙っていればクールビューティに見える容姿は偶に自分でも目を奪われるほどである。


一方で、近頃の悩みは筋肉がつかない点だ。

毎日トレーニングしていても一向に変化がなく、魔力無しでの運動能力は一般人程度。肉体の成長はしているのに、筋力だけは非力なままだった。

体質故か、転生者なのが何か関係しているのか、真相は不明である。

よく分からんので、進展が無くとも鍛えられるだけ鍛えているのが現状だ。

もしかしたら遅れて一気に筋肉がつくかもしれないしね。


「…………やっぱりおんぶしようか。」


「シャロン?」


「ゴメンナサイ。」



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