第7話 王子予想外の耐性
さて反応は?
「――聖女様、緊張されていますか?」
(……あ?)
予想外の言葉に、エリファーは頭の中がバグった。
「リラックスしていただければ、構いませんので」
(は??)
\ 好意的ィィィィィ!? /
(いやいやいやいやちょっと待て!?)
エリファーは一人で脳内会議を開く。
(あたし今、”こんばばわ朕は正常なり聖女だけに”って言ったよ!?
しかも語尾おかしいし正気じゃねぇし口調意味不明だし、なのに何で普通に受け入れられてんの!?これは城ぶち壊すしかないか?)
どこをどう見てもやべぇ奴ムーブだった。
それを、「聖女様は場を和ませてくれている」って……。
(やめろ!!こっちは“ドン引き”させに来てんだよ!!!)
なのに、なのにだ――
「さすが聖女様……慈愛深く、柔軟で……」
(違うゥゥゥ!)
周囲の貴族たちまで拍手してんの?!!
「すばらしいお振る舞いです!」
(ヤバい、全然“引かれて”ない!むしろ好感度爆上がりしてる!?)
もはや計画は崩壊寸前。
エリファーの顔面は引きつったまま、なんとか次の作戦を練る。
(落ち着け……ここで退くわけにはいかん……ドン引き作戦はまだ終わってない……!)
「す、すみませんちょっと……トイレでござる!!」
(なぜ“ござる”!?)
爆速でスカートをたなびかせ、エリファーは脱兎のごとく逃げ出した。
城の中の廊下。誰もいない隅っこでしゃがみ込む。
(完全にしくじった……普通にやべーこと言ったのに引かれねぇ……)
ドレスの裾から、金属バットのグリップが見えている。
(……出すか?これ)
真の奥義。
――物理ドン引き
(いや待て、さすがに暴力沙汰は……それにここ城だし、、神殿は行けたけど無理か?)
「……エリファー様?」
「ヒィィッ!?」
背後から聞こえる優しい声。
振り返ると、そこには――
「王子ゥゥゥ!?なんで来てるのおぉおお!!!??」
「すみません、少し気になって……体調が悪いのではと」
(気にすんな!!)
「もし、お悩みがあるのなら、私に話してみては……?」
「いや悩みなんて特に、強いて言うなら“あんたを引かせる方法が見つからない”くらいで……」
「……え?」
「あ、いや、うん、違うの、なんでもないから!」
――しかし、王子はまっすぐな目で言った。
「私は、エリファー様という方を、もっと知りたいと思っています」
「やめろォォォォ!!こっちは回避フラグしか立てたくないの!!!」
「聖女様の素の部分に、私はとても惹かれました。それに私は知っていますさっき庇ってくれたことを、!!あれはあなたでしょう?」
「見てたの!?」
もう、どうしていいかわからなかった。
ツッコミが追いつかない。金属バットでも間に合わない。
そしてエリファーは思った。
(あれ……私、これ……)
「――詰んでる?」
戦略的にも、人生的にも。
作戦一晩中考えたのにぃぃ(エリファー)




