3 余計なお節介ではあるけども、一緒に迷宮へ
これがきっかけとなった。
気がつけば他にも似たような者達にも声をかけ。
というか、あぶれてる奴はいくらでもいる。
才能がないとか、能力がないとか言われて追い出された新人がだ。
大半が宿代も払えず野宿を余儀なくされている。
そんな者達にも声をかけた。
なんだかんだで頭数は欲しい。
数は戦力になる。
もちろん、最低限の事が出来るという条件がつくが。
うらぶれてる連中はそこは超えている。
ここでいう最低限とは、武器の扱い方だとか、敵や罠の発見能力とかではない。
人として最低限の事が出来るかどうかだ。
挨拶が出来るとか。
むやみに逆らったり反発せずに、指示に素直に従えるかとか。
礼儀作法を身につけてなくても、他人を不快にするうな事を言わない・しないとか。
人を傷つけない、物を壊さないとか。
金や道具をちょろまかす、横領しないとか。
嘘をつかず、誠実な態度を貫くとか。
こういった事が出来るかどうかだ。
これが出来てる者を探して拾っていく。
体力や俊敏さや直観力。
こういったものもあればそれに超した事はない。
だが、それよりもまず人としてまともである事。
ソウシはこれを求めた。
前世の経験からだ。
勤め先には才能のある人間が何人かいた。
だが、これらが全て優れてるかというとそうではない。
仕事をこなす一方で、会社の備品を横流ししていたり。
取引で契約金額を多めに見積もり、差額を自噴の懐に入れたり。
同僚や部下をこきつかい、それを指導力・指揮能力と宣伝して出世していったり。
確かに能力はあったのかもしれない。
だが、その使い方は人間としてどうかというものだった。
そういう人間は会社をあやうくする。
こんな連中のせいで勤め先が傾く事もあった。
倒産に陥った事もある。
それ以前に、一緒にいて精神的にきつい。
だいたいが暴虐的で人をいたぶるのが好きな性格ばかりだ。
二度目の人生でそんな奴等と一緒にいるつもりはない。
そんな人間はどれだけ才能があっても排除した。
そうして集めた5人。
いずれも新人の域にいる連中。
迷宮に来てからさほど経ってない者も、何か月も経ってる者もいる。
中には路上生活者としてどうにか何年か生き抜いてき来た者も。
いずれも迷宮探索者としては下の下であろう。
そんな連中を好んで集め。
迷宮へと向かっていく。
武器や防具も買い与えて。
武装も持ってない者もいたのだから仕方ない。
もちろん安物だ。
だが、それで十分だった。
どうせ迷宮の入り口付近しか出歩けないのだ。
安物を使い潰していった方が効率が良い。
そんな武器や防具を装備した安っぽい一団。
そんな奴等をつれてソウシは迷宮へと入っていった。
その後ろに新人・底辺達が続く。