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おまけ(26) 【デューク視点】護衛依頼

本日はコミカライズの更新日です!


前回、散々な実力を晒した自称ベテラン中級冒険者。さて今回は…?

是非ご覧ください!


今回の小話は、噂の自称ベテラン中級冒険者、デューク視点。

コミカライズで活躍()しております、老け顔の剣士ですね。


小王国に来る前、彼はどんな風に考えていたのか?


それではどうぞ!




 俺とエドガー、イーノックは、冒険者ギルドロセフラーヴァ支部所属の中級冒険者である。

 冒険者歴はそれなりに長く、ベテランと名乗って差し支えない。


 …ああ、イーノックは別だ。


 ヤツは程々の強さの魔法使いで、体力はそれほどない。昔、どうしてもパーティに入れて欲しいと頭を下げられて、仕方なく加入させた経緯がある。


 だから、俺たちのパーティの中ではイーノックが一番格下。実際冒険者歴も一番短いし、年下だしな。

 デカい商会の息子だから、ちょっとくらい買い物で優遇してくれるだろうと期待してたんだが、そもそもヤツの実家の店は規模がデカすぎて、一般人は入りにくかった。それに、イーノックのやつは親の反対を押し切って冒険者になったらしく、実家に顔を出すのを嫌がった。とんだ期待外れだ。

 それでも、焚き火の火種に飲み水の確保にと、それなりに便利なやつではある。魔力が低いなりに努力はしているらしい。

 …努力なんか、上手く立ち回れば必要ないがな。


 冒険者ギルドの決まりごとには、結構な穴がある。


 例えば、合同依頼で複数のパーティが同じ仕事をした場合、その依頼で討伐した魔物は、参加したパーティ全ての実績として記録される。

 申請すれば個別の実績にすることもできるが、そのためには対象となる魔物の討伐証明部位を個別に持ち帰らなければならない。合同依頼の現場では魔物の解体なんて面倒な作業をしている暇はないから、そういう申請をする者は滅多にいない。

 つまり、合同依頼に参加して、安全な距離を取りつつ適当に仕事をしているフリをすれば、実力派パーティの魔物討伐実績がそのまま手元に転がり込んでくる、というわけだ。


 別にこれはルール違反じゃない。ギルドの規約で定められていることだし、同じようなことをやってる奴はいくらでもいる。実際俺とエドガーは、先輩冒険者にこのカラクリを教わった。


 魔物との戦いに命を懸けるなんて馬鹿のすることだ。上手く立ち回って安全に金を稼ぎ、それなりの名声を得て気ままに振る舞う。それが冒険者ってもんだ。


 ──だから、その話が降ってきた時、これはチャンスだと思った。


「デューク、エドガー、イーノック。小王国の魔物が新種かも知れないので調査に行く。護衛としてついてきてくれたまえ」


 冒険者ギルドロセフラーヴァ支部の会議室。

 いかにも学者っぽい眼鏡の男──魔物鑑定士のチャーリーは、真面目な顔でそう言った。


 俺の隣には重戦士のエドガー、さらにその向こう側には魔法使いのイーノック。言うまでもなく、俺たちのパーティを指名してのご依頼だ。

 今まで、近隣の調査に同行したことはあった。国をまたいでの依頼は初めてだ。俺は胸の高鳴りを自覚しつつ、素早く思考を巡らせる。


 …小王国。このロセフラーヴァの街の北に位置する小国だ。行ったことはないが、話にはよく聞く。

 曰く、ユライト王国の不要な土地を貰い受ける形で、大昔のユライト王国の末の王子が建国した国。

 曰く、白い首都の景観は美しいが、ひなびた田舎の雰囲気が拭えず、観光目的の長期滞在には向かない。

 曰く、人口はロセフラーヴァ以下で、とにかく田舎。


 …その田舎の魔物が、新種、ねえ……。


 内心鼻で笑ってしまう。十中八九、勘違いか大嘘だろう。ユライト王国と小王国は地続きだし、そこにだけ別種が現れるわけがない。

 だが、だからこそ、この依頼が『美味しい』のは間違いない。


 チャーリーが提示した金額は、普通の商隊の護衛依頼よりかなり高い。国境を越えることと、調査中のチャーリーの護衛、つまり魔物との交戦の確率がかなり高いことを加味した金額だという。


「調査の案内は現地の冒険者が行う。君たちは私の護衛に注力してくれればいい」

「…現地に冒険者が居るなら、そっちに護衛を頼めるんじゃないですか…っ!?」


 イーノックが余計な事を言う。

 その語尾が不自然に跳ね上がった。ちらりと見遣ると、エドガーが後ろ手にイーノックの背中の肉を思い切りつまんでいた。

 流石は俺の相棒。分かっている。この局面で「やっぱりやめた」なんて言われるわけにはいかない。


 だが、そんな心配は杞憂だった。


「小王国支部は所属する冒険者が少ない。討伐依頼も、ギルド長が同行してやっと処理している状態らしいのだよ。そんな支部に護衛まで期待する方が酷というものだろう」


 チャーリーが仕方なさそうに首を横に振る。呆れているのがありありと分かる態度だが、正直、俺も同じ気持ちだ。

 …ギルド長が同行しないと討伐できない? どんな弱小支部だよ。


「…そんなに少ないんですか?」


 イーノックの問いに、チャーリーは肩を竦めた。


「最近1人加入して、ようやく所属冒険者が3人になったそうだ。あと、冒険者見習いが1人だったか」

「へ」


 完全に予想外の数字だった。3人て…やっとパーティ組めるかどうかじゃねえか。見習いなんて戦力にならねえし。


 チャーリーが言うには、冒険者3人のうち1人は新人。残りの2人は冒険者になってからそこそこ経つが、ランクはD──中級に近い初級だという。俺とエドガーはおろか、イーノックより格下だ。

 そんな支部があるってこと自体驚きだが、その分、小王国の魔物が大したことない可能性は高くなる。

 というか…初級2人に初心者1人に戦力外1人、それにギルド長1人で何とかなってるなら、確実に大したことないだろ。仮に新種だとしても。


「あちらのギルド長曰く、魔物は全て魔法を使うそうだ」

「…は? 何かの見間違えじゃないですか?」


 エドガーが薄笑いして否定すると、チャーリーも困ったように苦笑した。


「私も同じ予想だ。だが、そういう下手な冗談を言う相手ではないから、それが少し気になっていてな」


 あっちのギルド長はチャーリーの知り合いらしい。そういえば、チャーリーは小王国の出身だったか。ならこれは、里帰りみたいなもんか。


 俺は腰に手を当ててニヤリと笑った。


「それも調べりゃ分かりますよ。──護衛の件、引き受けます。任しといてください」

「うむ、よろしく頼む」


 チャーリーは眼鏡をキラリと光らせて頷いた。





 ──この安請け合いを後々死ぬほど後悔することになるとは、この時の俺は、欠片も予想していなかった。









実はイーノックだけちょっと浮いてたんですねぇ。一応イーノックの方はパーティの空気を読んで合わせようとしてたんですが。不憫。



…さて。


改めまして、本日はコミカライズ10話、その②の更新でしたね!

みなさま、もうご覧いただけましたでしょうか?


今回更新分の原作者的イチオシポイントは、


・『結果は散々だった』の小王国メンバー(仲良いな!)

・ありがた~いお言葉をいただいたユウさんたち(顔w)

・自称ベテラン中級冒険者のフォローに回るユウさんたち(活躍、してます…!)

・じゃあ立ちますねー、からの流れ(察しが良い)

・頑張って自分の意見を述べるイーノック(頑張った!)

・「え!?」からの流れ(素早い…そして顔芸がやばい…!(笑))


…です!


思わぬ事実が発覚して、ついでにチャーリーが一人大変な目に遭っていますね。いいぞもっとやれ。

ラストのページは初めて見た時リアルに吹きました。これは漫画ならではの演出…!

是非じっくり見てください!


イイ感じにオチがついたところで、次回更新は12月9日(火)の予定です。


8月7日に発売したコミック1巻、

8月25日に発売した小説1巻、

そして絶賛Web連載中のコミカライズ!


みなさま、引き続き応援をよろしくお願いいたします!





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