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異世界に行ったので手に職を持って生き延びます【WEB版】  作者: 白露 鶺鴒
第三章

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3-2.鉱山ダンジョン


 向かう先は、〈ミニエラ鉱山ダンジョン〉。名前の通り、鉱山・洞窟のような階層が多い。


 冒険者の等級が低いとダンジョンは入れない(平均でD級)が、奴隷の場合には主人の階級を確認するだけで、奴隷が条件を満たしていなくてもOKらしい。


 良く分からないが、奴隷だけで入るなら階級は確認され、主人と入る時には主人の階級のみを参照する。奴隷を盾にすることが許されてしまうのは、嫌だなと思うけど……そういう仕組みらしい。


 ダンジョンには、従魔を連れていくことも出来るため、シマオウという戦力もある。モモとライチも連れているけど、こっちは戦力外。

 魔法使い兼ヒーラーが私だけではあるが、タンクもアタッカーもいるし、斥候もティガさんの耳とシマオウがいるので、バランスは心配無さそう。


 ただし、このダンジョンで大事なのは、足場の確保。狭い道……すぐ横は崖のような場所だったりと、足を滑らせたら真っ逆さまになったりと、危険があるらしい。命綱になるロープとかもちゃんと持ってきたけど、気を付ける必要がある。


 しかも、出てくる魔物には、コウモリ型とか、飛行できる魔物もいるので、タンクを飛び越えて寄ってくることがあるので安心とも言えなかったりする。


 

 そして、目の前には大きなムカデ。〈ゲジセンチピード〉という、ダンジョン入口で待ち構えているボス。入口は足場のいい、障害物の少ない空間で戦いやすい。

 

 ただし、ボスは巨大……。15メートルくらいあるかな? 

 う~ん。あの大蛇なんかよりも巨体だ……速さはないけど。大きくて気持ち悪い。


「甲冑の部分はすごく硬いので、沢山ある足部分を狙ってください。噛まれると毒、噛み付かれないようにお願いします! たまに毒霧も吐いてくるので」

「承知した……〈ガード〉〈挑発〉」


 ティガさんが正面にきて、ムカデの突進を受け止める……が、突進の勢いそのままに、後ろに押される。パワーはあっちの方が断然に高い。


 そもそもティガさん自身もそんなにレベルが高いわけではないから仕方ない。


「光回復〈ヒール〉……大丈夫です?」

「ああ。すまない……抑え込むつもりだったんだが、すまない」

「一応、あれを倒せないと中に入れないので……ただ、スピードはそこまで早くないので、無理せずいきましょう」


 実際、この状況は予想通りではある。前の時と違って、ちゃんとダンジョンの情報は調べているので、このボスが出てくることも、ティガさんとレウスのレベルが低い事も想定している。


 タンクが完璧に足止めできないという点では、少々戦いにくい部分ではあるけれど……最悪はナーガ君がタンクも可能。事前にナーガ君には二人の実力確認のため、タンクをティガさんでと打合せしている。


 お互いに様子見の状態で攻撃をちまちまと入れていたら……ナーガ君が殻に攻撃を仕掛けても通らないので、大剣に火を灯して攻撃をしようとした。

 


「……いくぞ!」


 ムカデにナーガ君が一撃を加えると、周囲に異臭が立ち込める。


「あ! ナーガ君‼ 炎は抑えて! 焼くと匂いがすごく臭いらしいから! 魔力通さずにお願い! 風〈ウィンド〉!」

「……わかった」


 ナーガ君が考えた通り、このムカデはDEFはものすごく高い反面、MDFは低いので、魔法攻撃で割とあっさり勝てる。

 ただし、火であぶるとものすごく臭い……話は聞いていたけど、本当に臭かった。速攻で、魔法で風を起こして吹き飛ばした。


 あれは匂い取れなくなる上に、その匂いにつられて他の魔物が寄ってきやすいと聞いているので、出鼻を挫いて申し訳ないのだけど、魔力なしでお願いした。吹き飛ばしたから誰も臭くなってないよね?


 ナーガ君は一気に叩こうとしたところを止めてしまったので、ちょっと微妙な顔している。ごめん。


 ナーガ君の場合、高いSTRから攻撃通るからね。むしろ、私がさっさと魔法攻撃をいれても良いのだけど……ちらっとレウスとティガさんの様子を窺う。


「全然、倒せないんだけど……くそっ」

「GYU!」


 レウスはムカデの攻撃は避けているが、反撃しても、全然攻撃が通らないので、困っている様子。


 双剣使いらしく、両手に剣を持っている。どうやら、右手に黒鉄、左に鋼にしたらしい。

 一撃は軽め……いや、兄さんやナーガ君を基準にしていると軽いけど、私よりは片手でも攻撃力がある。二倍の手数と考えると十分だろう。


 しかし、本人は納得いってない様子。ナーガ君が重い攻撃をしているからだろう。


 さらに、シマオウもムカデの顔に乗って、触覚を攻撃している。

 しかも、シマオウの爪が緑色に光ってたりするんだけど……爪に魔力通したりしてる?


 う~ん。そういえば、レオニスさんが私では危険という魔物だったか。やっぱり強い……レウスのフォローをしつつ、攻撃してくれている。


 やっぱり、二人がちょっと戦いになれていない感じがする。いや、別に自分だってそんなに強いわけではないんだけど。


「すまない、足手纏いかな」


 近づいてきたティガさんに首を振る。足手纏いだとは思っていない。

 むしろ、二人の力を見極めておきたいとは考えていただけで、ティガさんは冷静に立ち回りが出来ているので、今後期待できると思う。


「大丈夫です。まだ、これからというか……。レベルも上がってきます。お互いの動きも分からない状態なので、焦らずに行きましょう。危険な攻撃は避けるか、ガードしてください。無理に止める必要はないです……ただ、毒は注意してください……魔法でも解毒は出来ますけど」

「ああ。タンクとして役立たずで、悔しいところではあるんだが……また、毒でやられたくはないからね」


 別系統の毒ではあるけど……確かに? でも、あれで耐性も出来ている気がするので……多少なら耐えられる可能性もあるかな。


「少なくとも、私とレウスは強攻撃をくらうと厳しいと思うので。その時に〈挑発〉で、逸らしてくれているだけでもすごく助かってます」

「それは、良かった」


 ナーガ君がムカデの足を引きちぎってるので、だいぶ動きも遅くなっている。突進攻撃もだいぶ威力が半減してきている。

 この状態なら、多少時間がかかっても、怪我も無く勝てる。そんなことを考えていたら、ムカデは壁をつたって、手が届かない場所まで移動してしまった。


「ちょっと! 届かないじゃん、降りて来いよ!」


 レウスは叫んでいるけど、意に介していない。ティガさんが〈挑発〉をうっても、ナーガ君でも降りてこない。


「これは、困ったね。どうするべきかな」

「私の方で、魔法攻撃します。当たったら落ちてくると思うので、警戒してください。…………水の矢〈ウォーターアロー〉!」


 天井に張り付いて、こちらを見ているムカデに水魔法を放つ。大きいので、良い的。魔力を溜めての攻撃だから、それなりに通る。


「GYAAAA!」


 攻撃に怒ったのか、ぼとっと天井から落ちてきて、私に向けて、突進してくる。


「クレイン!」

「だいじょうぶ!」


 ターゲットが私に移ったから、心配されている。でも、最初からそうなると想定して魔法攻撃しているので、問題はない。

 大きな巨体をそのままに突進してくるので、寸でのところで避けて、横腹に剣を突き立てる。もちろん、刃の部分には氷の魔力を込めておいた。虫なら、体温変化には弱いと思うので、氷。

 火と違って臭くはならないだろう。氷は使い勝手がいい。


 火はね……最近、思ったより使えない気がしてきた……。兄さんとナーガ君の武器を火にしておいて、今更なんだけどね。


 周囲に気をつけないと山火事起こしそうだったり、火耐性もちが鉱山ダンジョンには多い。

 使いどころが難しいんだよね。


 突進の勢いで、自分の横腹が裂けていくのに、堪らず、ムカデは叫び声を上げて地面に倒れた。体温変化のせいもあり、ぴくぴくと動きが止まっている。


「え? どうやったの?」

「あとで! 動きが止まってる今がチャンスだから!」


 レウスの驚いた表情を無視して、一斉攻撃……まあ、ナーガ君が思いっきり、ムカデの頭の部分に特技を使って攻撃したので、あっさりと倒せた。



「ダンジョンって、あんなでかいのばっかりいるの?」

「入口と10階層ごとにボスがいる。上の方の階になると徘徊型のボスもいるけど……でも、今回はそこまで行かないと思う」


 ムカデの解体をしていると、レウスが興味津々にやってきた。解体のやり方を説明しつつ、このボスについては、私が解体する。


 何故なら、こいつの毒は重要。……ムカデや蜂などの虫系の魔物毒に効果のある解毒薬を作る材料になるから便利。ボスなので、他のより上位の素材だけど、比較的手に入りやすい……。ダンジョン入る時に必ず出てくるからね。

 薬師としては、扱えるようになっておきたい牙とか、沢山ある爪素材……殻は使えないけどね。


「器用なものだね。気持ち悪くはないのかな?」

「最初はちょっと戸惑ったんですけどね……でも、薬師なら、虫が苦手とか言ってられないかなと、思いまして……。あ、無理に解体しなくても、ギルドに持っていけば解体してくれます。毛皮とか高価になりそうな魔物ならそっちのがオススメです」


 だが、この巨体だと魔法袋に入れるにしても、ちょっとデカすぎる。そもそも、レウス達の魔法袋ないしね……。

 3人が必要だと考えたら買えるようにマリィさんにお願いしておこう。


 

 全員大きな怪我はない事を確認してから、ダンジョンへと入っていく。


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